大手ゼネコン、国内売上6年連続で増加 海外契約は2年連続で減少

2018年5月8日 10:03

 建設業は活況を呈している。高度成長から50年、バブル経済から30年が経過し社会資本の修繕が急がれる。東北の復興も急ピッチで進めなくてはならない。さらにオリンピックも間近に迫り、関連工事もラストスパートに入ったようだ。

 大手ゼネコンの売上高は増加傾向で推移している一方、海外契約については一服感がみられる。国土交通省は先月27日、建設業活動実態調査(平成29年調査)の結果を公表した。この調査は建設業許可業者の中で大きな市場シェアを持ち多角化・国際化等の面で実績のある大手建設業者を対象としてその企業活動の実態を調査したものである。

 対象大手建設会社の国内売上高の総額は、前年比0.5%増の14兆7017億円で6年連続の増加となった。公共・民間別には、公共が3兆5269億円で全体の24.0%を占め、前年比1.8%の増加、民間が11兆1748億円で構成比は76.0%、前年比は0.1%の増加となっている。

 事業別の内訳を見ると、土木建築工事が11兆742億円で全体の75%を占め最も多く、前年比は横ばい、設備工事業が2兆9489億円で前年比2.2%の減少であった。

 国際化の状況を見ると、国内在住外国人労働者を擁する企業は53社中37社あり、その総人数は547人である。国籍別に見てみると、中国が226人、韓国が72人、ベトナムが61人の順となっている。業務別では、施工・施工管理が302人、設計・積算で123人、事務55人、研究が28人、営業は12人となっている。

 海外展開している企業は47社あり、海外建設事業の契約金額の総計は1兆8145億円で前年比8.8%減と2年連続の減少となった。

 受注高の多い国と地域を会社数で見ると、179社のうちタイが23社で最も多く、次いでベトナムの21社、シンガポールが16社、香港を含む中国が12社、台湾とインドネシアがそれぞれ11社となっている。

 受注を伸ばしたい国と地域では、ベトナムが26社で最も多く、次いでミャンマーが25社、タイが17社、インドネシアが17社、シンガポールが13社、中国が10社と続き、東南アジアでの受注を重視しているのが窺える。

海外でのプロジェクト別の契約金額は、建築工事及び建設工事が1兆4508億円で全体の80.0%を占め最も多く、前年比は10.4%の減少となっている。

 長期時系列を見ると海外受注の減少は10年程度のサイクルでの一過的なリセッションと見られ趨勢的な減少ではない。(編集担当:久保田雄城)

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