陸にぶつからない最長の海上ルートと水に落ちない最長の地上ルートは

2018年5月7日 23:28

海上を陸地にぶつかることなくまっすぐ航行できる最長ルートと、地上を海や湖沼に落ちることなくまっすぐ走行できる最長ルートについて、United Technologies Research Center IrelandのRohan Chabukswar氏とIBM Research IndiaのKushal Mukherjee氏が分枝限定法を用いて算出している(論文アブストラクトSlashGearの記事MIT Technology Reviewの記事)。 最長の直線海上ルートはパキスタンを出発してアフリカ大陸とマダガスカルの間を抜け、アフリカ大陸と南アメリカ大陸の南側を通って太平洋を北西に進み、カムチャツカ半島に至る。角距離288度35分23秒、距離32,089.7kmの大圏コースだ。このルートは2012年にRedditユーザーのkepleronlyknows氏がsubreddit「MapPorn」に投稿したもので、証明・反証や地上ルート特定などの試みで盛り上がった。 最長直線ルートの特定は基本的に最適化問題だが、島や湖の存在により目的関数は不連続となる。また、地球全体をカバーする陸と水域のデータは利用できないため、本研究では米海洋大気庁(NOAA)の起伏データETOPO1 Global Relief ModelのIce Surfaceバージョンを用い、負の標高を水域、正の標高を陸とみなしている。 ETOPO1の起伏データは経緯度1分(赤道で約1,855m)ごとのグリッドになっており、総当たりで最長コースを見つけるには、233,280,000個の大圏から各21,600地点、計5兆地点以上を確認する必要がある。しかし、本研究では分枝限定法によるアルゴリズムを用い、標準的なノートPCで最長直線海上ルートを約10分、最長直線地上ルートを約45分で計算できたとのこと。 これにより、kepleronlyknows氏による直線海上ルートが最長であることが証明された。最長直線地上ルートは中国・福建省の晋江市を出発し、中国とモンゴルの国境付近を進んでカザフスタン・ロシアを過ぎ、ベラルーシとウクライナの国境付近を進む。さらにポーランド・チェコ・ドイツ・オーストリア・リヒテンシュタイン・スイス・フランス・スペインを抜け、ポルトガルのサグレス付近に到着するというものだ。このルートは15か国を通り、角距離101度5分38秒、距離は11,241.1kmとなる。 ただし、本研究は純粋に数学的な方法で問題を解決したものであり、実際にこのルートを船で航行したり、自動車で走行したりすることは推奨しないと述べている。

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