進む消費者の百貨店離れ 苦境に
2018年5月7日 18:05
百貨店で今起こっている問題、それは「閉店ラッシュ」である。かつて百貨店といえば様々な商品を取り扱うことで多数の来客で賑わう場所だった。しかし、そんな百貨店で今起こっているのが深刻な客離れである。その結果全国各地の多くの百貨店で閉店が相次いでいる。
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百貨店の市場規模は過去には10兆円もの規模を誇った時代があった。しかし、現在ではその市場規模のほとんどは百貨店以外の媒体に奪われてしまっている。そのひとつがコンビニだ。コンビニは百貨店の衰退を尻目に市場を拡大し、2014年度にはかつての百貨店のもつ市場規模と同じ10兆円の規模となった。こうしたコンビニの市場拡大の背景にあるのは、百貨店にはない利便性の高さだろう。手軽で便利、これこそがコンビニのもつ大きな特徴であるとともに武器となった。ただし、そのコンビニもまた店舗数が飽和状態にあり、新たな戦略の転換期に来ていることは否めない。このことからも産業がいかに成長を続けていくことが難しいか、ということがよくわかる。
また、最近ではインターネット通販の普及に伴いわざわざ百貨店まで足を運ばなくても自宅など好きな場所で必要なものを買うことができるようになっている。こうしたインターネット通販は、コンビニ以上に利便性が高いということで利用者も多く、百貨店のみならず様々な分野で影響を及ぼしている。
それに対して百貨店の現状だが、リサーチ会社のマイボイスコムの調査によると消費者側が百貨店を利用するという習慣が過去と比較した場合減少傾向にあることがわかる。利用頻度については「ほとんど行かない」という人が全体のおよそ4割にものぼるという。そもそも百貨店を利用したことがないという人もおよそ1割ほどになっており、こうした調査結果から見えることはやはり百貨店の利用者が減っているということである。
もっとも、百貨店のニーズそのものが全くなくなってしまっているというわけではない。たとえばお土産の購入やプレゼントの購入といった目的においては、百貨店は根強い人気がある。百貨店によってはその店でしか買うことができない商品というものもあり、贈答品では今なお百貨店へのニーズは高いということになる。閉店が相次ぐ百貨店ではあるが、こうした百貨店独自の強みによって活路を見出すところも増えている。(編集担当:久保田雄城)