ネアンデルタール人は現生人類より小脳が小さかった、慶應大などの発見
2018年5月7日 06:36
ネアンデルタール人の脳は、現生人類ホモ・サピエンスよりのそれも小脳が小さかったらしい。ネアンデルタール人の脳といえば従来の見解では「現生人類よりも大きかった」とする考え方があったのだが、それはどうやら違ったらしく、全体重量はだいたい同じくらいらしいのだが、小脳の大きさのみ現生人類と差があったという。慶應義塾大学理工学部機械工学科の荻原直道教授、名古屋大学大学院情報学研究科の田邊宏樹教授を中心とする研究グループが発表した。
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ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)は、約40年前に出現し、4万年から2万年前頃に絶滅したと考えられている現生人類の近縁種である。いまはあまり聞かなくなったが現生人類を新人、ネアンデルタール人を旧人とする分類もある。ちなみに、現生人類の直接の祖先ではないことが今日では明らかになっている。現生人類とネアンデルタール人が平行して存在していた年代もあるのだが、接触があったのかなかったのか、あったとしてどのような関係性にあったのか、なぜネアンデルタール人は滅び新人は生き残ったのか、多くの謎に包まれている。
さて今回の研究では、ネアンデルタール人と現生人類の頭骨を新しく開発した数理的解析にかけて、中に納まっていた脳の形状と容量を正確に復元した。その分析の結果として、大きさに差はないが小脳のサイズが違うことが明らかになったのだ。
小脳は基本的には運動を司る部位とされているが、研究グループによれば、言語の生成や理解、ワーキングメモリ、認知的柔軟性などの複雑で高度な認知能力、社会能力に関与しているはずであるという。これがネアンデルターレンシスとホモ・サピエンスの運命を分かった原因である、と研究グループは結論づけている。
なお、研究の詳細は英国科学誌「Scientific Reports」に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)