大阪市立大、CO2を減らしながら太陽光発電するバイオ燃料電池を開発

2018年5月4日 19:40

 大阪市立大学人工光合成研究センターの天尾豊教授のグループが、二酸化炭素を削減しながら太陽光で発電するバイオ燃料電池の開発に成功した。

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 スピルリナという植物がある。濃緑色単細胞微細藻類の一種で、藍藻綱ユレモ目に属し、300~500ナノメートルほどのらせん形をしている。小さいが、熱帯地方の湖などに大量に自生する。余談ではあるがアフリカや中南米では貴重な食料として活用されてきたという歴史もある。

 さて、スピルリナは水中において特異な効率的酸素発生型光合成機能を有する。今回の研究ではここに着目した。すなわち、スピルリナに由来する光合成膜を電極に固定し、ギ酸脱水素酵素を固定した電極と連結したのである。すると、可視光線を照射すると発電しながら同時に二酸化炭素を削減、ギ酸を生成する機能を持つバイオ燃料電池が出来上がったというわけだ。

 二酸化炭素を削減する方法というのは、本質論をいえば基本的には地中に貯留するというものがほとんどである。しかし今回開発されたバイオ燃料電池は、二酸化炭素そのものを水とともに原料として利用することで、ギ酸に変換することのできるものだ。地球温暖化の原因物質としておおむね忌み嫌われている二酸化炭素を有用な原料として活用することのできる今回の発見は、画期的な成果であるといえる。

 ちなみにギ酸であるが、水素エネルギーの貯蔵媒体としても知られており、また有機薬品の合成材料にしたり、無機・有機化合物溶剤にも利用できる。

 あるいは今後、石油・石炭などの化石エネルギーに依存することなく、二酸化炭素を利用し削減しながらエネルギーを創出する、究極の太陽電池が開発されるかもしれない。今回の研究はその可能性を示すものである。

 なお研究の詳細は、New Journal of Chemistry (Royal Society of Chemistry)にオンライン掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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