地方銀行の新事業モデル 模索続く

2018年5月1日 09:34

 地方銀行の置かれている環境というものは、これまでと大きく異なっている。少子高齢化による人口の減少や、日本銀行によるマイナス金利政策の影響で地方銀行の経営はかなり厳しい状態が続いている。これまで通りの経営では生き残りが難しいという現状で、地方銀行の中には新たな事業モデルを展開し、この難局を乗り切ろうとするところも増えてきた。

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 地方銀行の新たな事業モデルの中でも代表的なもののひとつが「合従連衝」である。これは、いわば地方銀行同士の連携ともいうべきもので、エリアを超えてそれぞれの抱える顧客を紹介しあうという仕組みだ。地方銀行のもつ強みには、地域密着型の経営というものがある。これは大手の都市銀行にはない特徴といえるもので、それぞれの地域に根ざした様々なサービスを展開することができることから、地方の経済活性化には欠かせない存在、それが地方銀行だった。しかし、少子高齢化に伴う人口の減少により、これまでと同じ戦略では経営が難しくなり、顧客を奪い合うよりは銀行同士が提携したほうがメリットが大きいという判断をするところが増えている。どの銀行であっても顧客の確保には苦労しているという点は共通なのだ。

 人口の減少とともに地方銀行の頭を悩ませるのが日本銀行のマイナス金利政策である。これによって地方銀行の得た利益は2017年度で2年前と比較し2割以上も減少したといわれている。そこで、銀行同士が提携をするだけでなく、統合や合併をするといったケースも増えている。各銀行のもつ預金高は決して多くはなくても、それぞれの銀行が合併すればその資産は大手の都市銀行にもひけはとらない。もともと統合や合併は銀行が大きくなるための手段として以前より用いられてきた手法であり、地方銀行の中でもこうした手法によって存在感を高めようと模索する銀行も少なくない。

 さらに、AIの導入による省力化を進めている銀行もある。人口が減るということは顧客の減少だけでなく、その銀行で働く人材の不足にもつながる。そこで、AIを導入することで業務を効率化することで人材不足をカバーするのが目的だ。また、銀行で行う業務を絞り込んで、代理店に業務を外注するといったケースもあり、銀行そのものの働き方を変えるといった動きもある。地方銀行が地域密着型で安定した経営というのは、現在ではかなり難しいビジネスモデルといえるかもしれない。地方銀行ごとに生き残りをかけた模索が続く。(編集担当:久保田雄城)

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