東大、未知の共生形態をとる新属新種のイソギンチャクを発見

2018年4月10日 19:27

 神奈川県三崎市の磯で、カイメンの中に共生する微小なイソギンチャクが発見され、ムシモドキギンチャク科に属する新属新種のイソギンチャクであることが確認された。東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻の泉貴人さん(博士課程3年)、同・上島励准教授、東京大学大学院附属臨海実験所の伊勢優史特任助教(研究当時)の三氏が発表した。

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 テンプライソギンチャク、Tempuractis rinkaiと名付けられたこの種は、かつて世界的にも発見されたことのない未知の共生形態をとることに大きな特徴がある。まず、カイメンのような同骨海綿類が、刺胞動物と共生するということ。ムシモドキギンチャク科の中でも特異的に小さな個体の姿をとること。刺胞の形の特徴。これらみなすべて既知の種には見られないものであり、新属を設立するのが妥当であると判断されたものである。

 ちなみにムシモドキギンチャクは日本ではあまり研究が進んでいないが、おそらく未知の新種がまだ数多く残っていることが期待されている種である。

 またテンプライソギンチャクの外胚葉はカイメンの上皮と強固に結合しており、しかも、両種はどうやら自然界では必ず共生して存在しており、独立に生息することはないらしい。

 イソギンチャクはカイメンのおかげで外敵から身を守ることができ、カイメンのほうは、天敵からの保護、岩への結合などにテンプライソギンチャクを利用していると考えられるという。

 今後の研究としては、両者の共生関係がもたらしているメリットが他にも何か無いかということと、そしてこのような特異的な共生関係がどのように成立したのかについての分析などが考えられるとのことである。

 なお、研究の詳細は、「Zoological Science」にオンライン掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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