伝送能力が約2倍に!未来型の光ファイバー NICTとフジクラが開発
2018年4月10日 17:25
情報通信研究機構(NICT)のネットワークシステム研究所とフジクラは、既存の設備規格でケーブル化ができ、標準外径(0.125mm、3モード伝搬)の広帯域波長多重伝送が可能な光ファイバーを開発した。伝送能力は従来の約2倍だという。
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3モード伝搬の広帯域波長多重伝送のような複数のモードを持つ光ファイバー(マルチモードファイバー)の場合、モードごとに光信号の到着時間が異なるため、大容量と長距離伝送を満たすことは難しいとされていた。
今回開発された新型の光ファイバーは、伝送能力の容量を確保するために、光の位相と振幅を併用し複数のビットを表現する方式の中で、16QAMという高密度な多値変調光信号をモード多重にした。
そして、MIMO(Multiple-input-multiple-output)処理という、無線通信で用いられるマルチパス干渉を除去する信号処理技術を行うことで、伝送距離を1000km以上にまで伸ばしたのである
結果、毎秒159テラビットで1045kmの伝送が可能になり、これは伝送能力の一般的な指標である伝送容量と距離の積に換算すると、毎秒166ペタビット×kmとなったのである。
この数値は、標準外径光ファイバーにおいてのこれまでの世界記録の約2倍に相当するという。
新型の光ファイバーが開発されたことにより、これまで不可能とされていた大容量基幹系の通信において、複数のモードを持つ光ファイバー(マルチモードファイバー)の利用が可能であることが示されたのである。
すでにこの技術を記した論文は、第41回光ファイバー通信国際会議(OFC2018)で高評価を得ており、最優秀ホットトピック論文(Post Deadline Paper)として採択されているという。
情報通信研究機構は、大学と連携で研究開発を進めているマルチコア技術を組み合わせることで、さらなる大容量の伝送も可能になると期待を寄せている。
今後の展望についは、『ますます増加していくビッグデータや5Gサービスなどのトラヒックをスムーズに収容可能な未来の光通信インフラ基盤技術の研究開発に取り組んでいく』としている。(記事:和田光生・記事一覧を見る)