【中国の視点】米中両国、貿易戦から金融戦に発展すべきではない
2018年4月9日 11:19
*11:19JST 【中国の視点】米中両国、貿易戦から金融戦に発展すべきではない
貿易問題をめぐる米中両国政府は貿易関税で応酬を繰り広げている。また、米中両国が「貿易戦争」から「金融戦争」に発展する可能性があるとの見方も浮上している。
ただ、中国人民銀行(中央銀行)参事・盛松成氏はこのほど、米中両国が貿易戦から金融戦に発展すべきではないと指摘した。急激な元安や元高進行がともに中国経済に打撃を与えるとの見方を示し、元の対米ドル為替レートを安定させる必要があると強調した。
盛参事は、元安進行について、輸出に寄与するものの、中国からの資本流出圧力を強めるほか、経済大国というイメージを悪化させる可能性があると指摘した。また、これが貿易摩擦を一段と激化させるほか、現時点では輸出は中国経済への貢献が限定的だと強調した。中国政府が総合的に考慮して安易に元安を誘導すべきではないとの見方を示した。
また、国内のエコノミストは、米国の対中貿易赤字について、貨物取引を対象に計算した結果だと指摘。サービス部門では、米国の対中貿易が黒字となっているほか、年々拡大していると強調した。さらに、サービス部門における米国の対中貿易黒字について、世界の国・地域の中でもっとも大きいというデータも示されている。
なお、米国経済分析局(BEA)が発表したデータによると、サービス業を含めた2017年の米国の対中貿易赤字は3372億米ドル(約36兆804億円)だったという。うち貨物取引の貿易収支は3757億米ドルの赤字、サービス業では385億米ドルの黒字となった。《AN》