サムスン証券、あわや10兆円損害 入力ミスで「1株につき1000株」を配当
2018年4月9日 09:56
韓国のサムスン証券が、自社株の配当を送金する際に操作を誤り、「総額28億ウォン(約2億8,000万円)、配当対象一株あたり1,000ウォン」を配当するべきところで「28億株、総額100兆ウォン(約10兆円)、配当対象一株あたり1,000株」を配当するという処理をしていたことが、韓国の各メディアなどによって報じられた。
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配当は一般株主に広く行われたわけではなく、サムスン証券の、自社株を所有する社員に対して行われたものだった。この配当を受けた社員は約2,000人おり、その中で一部の社員が大量の株を売りに出したため、サムスン証券の株価は一時11%以上の急落を生じ、株式市場の混乱を招いた。
同時に、同社の側も異変にまもなく気付いたため、ミスの修正を行った。実際に売却されたのは、0.18%にとどまった。
韓国の金融当局関係者は、聯合ニュースに対し、「理由もなく手に入った株を、会社に報告もせず売り払った社員らの責任を問わなければならない」と述べたという。
さて、すんでのところで被害は微少に抑えられたとはいえ、もしこれが対応されずに長時間放置されていたらと考えてみればそら恐ろしい事件である。
この種の人為ミスは、どこでも起こり得るし、抜本的な対策というものがほとんど本質的に取りえないため、他人事ではない。もちろん、日本でも類似の事件はたくさんあるが、少々古い例をひとつご紹介しよう。
昭和21(1946)年、夏、札幌競馬場においてのことである。GHQの主導のもと、戦後初の競馬レースが開催された。その第一レースで、配当は15倍、150円であると発表された(当時の馬券は10円単位で売られていた。駅弁が3円だった時代である)。しかし、これは間違いで、正しくは1.5倍、15円であった。だが、一部に既に払い戻しを受けてしまった観客がいたため、暴動寸前の事態となり、結局、150円の配当が全員に支払われることになった。結局、その日一日の最終的な収支が約62万円(現在の日本円にして約3億1,000万円程度)の赤字になるという、惨憺たる結果になったという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)