日本取引所、取引市場の活況により過去最高収益更新へ

2018年3月30日 06:51

 日本取引所グループ(JPX)は22日、今期(2018年3月期)見通しの上方修正を発表した。

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 日本取引所は、2013年東京証券取引所グループと大阪証券取引所が経営統合して設立された。東京証券取引所は1878年に渋沢栄一などによって設立された東京株式取引所、大阪証券取引所は同年に伍代友厚などが出資した大阪株式取引所に始まった。

 両社は「上場企業の株式を買って、代金支払して名義変更する」一連の取引清算処理を確実に行えるシステムを作り、マーケットを通じた企業への成長資金の供給により日本経済の発展に貢献してきた。

 経営統合により設立された日本取引所は、傘下に東京証券取引所、大阪取引所、日本取引所自主規制法人、日本証券クリアリング機構を抱え、市場取引者が安心して取引できるように取引所の適正な運営を行うと同時に、自身も株式会社として東証一部に証券コード(8697)で上場しており、株主利益の向上が要求されている。

■前期(2017年3月期)実績と今期(2018年3月期)見通し

 日本取引所はグループ全体で、株券等有価証券の売買、デリバティブ商品などの取引を行うための市場施設の提供、相場の公表、売買等の公正性の確保に関する業務、有価証券債務引き受け業を行う体制を整えて、市場利用者にとってより安全で利便性の高い取引の場を提供している。

 それによって証券会社等の取引参加者、上場会社、情報提供業者などから市場を利用することに対する対価を得ている。

 取引が前年を下回ったことにより対価の総額となる前期の営業収益は、前年より69億円減の1,079億円(前年比94%)と減少し、その結果営業利益も69億円減の594億円(同90%)となった。

 営業収益の内訳をビジネスモデル別に見ていこう・

 1.取引関連収益:457億円(同87%)、売上収益構成比42%
 現物、デリバティブ取引など売買の執行に関連する収益

 2.清算関連収益:214億円(同93%),売上収益構成比20%
 デリバティブ取引、現物取引などの清算・決済履行に関連する収益

 3.上場関連収益:129億円(同97%)、売上収益構成比12%
 資金調達や知名度・信用力向上等の上場のメリットに対する上場料金

 4.情報関連収益:181億円(同102%)、売上収益構成比17%
 株価情報、指数情報を提供し、情報提供業者から受け取る情報料金

 5.その他:97億円(同118%)、売上収益構成比9%
 高速・大容量通信の導入と東京商品取引所へのシステム提供などによる収入

 今期(2018年3月期)4-9月の好調な市場取引実績を受けて、今期の営業収益は当初見通しよりも100億円増の1,200億円(同111%)、営業利益は110億円増の710億円(同120%)に上方修正し、過去最高収益の更新を見込む。

■中期計画(2017年3月期~2019年3月期)での重点施策

 1.ETF、デリバティブなどを活用して多様な投資ニーズを充たし、資産形成を活性化
 2.コーポレートガバナンスを高め、上場会社の価値向上を支える
 3.高速取引ルールの整備など市場基盤の強化を図る
 4.フィンテックの活用など取引所ビジネスの新たな地平を開拓

 金融商品取引所としての財務の健全性、市場の競争力強化に向けた内部留保の重要性に留意しつつ、配当性向60%を目標とする日本取引所の動きを見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る

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