格安SIMの利用者、初の10%超え MMD研究所が調査
2018年3月27日 09:45
スマホ利用者の間でその存在感を高めているのが格安SIMである。「格安スマホ」と表現されることも多いこの格安SIMは、少しずつだが確実にシェアを伸ばしている。そんな格安SIMの現状を現したデータがMMD研究所の調査でわかった。MMD研究所とは、スマホやタブレットの消費者動向を自主的に調査・公開しており、同研究所の調査によると格安SIMをメインで利用しているユーザーが調査開始以来初めて10%を超えたと発表した。
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MMD研究所の今回の調査は15歳~69歳の男女を対象としたもので、およそ4万人から有効回答を得ている。現在のスマホシェアについてはNTTドコモ<9437>・ソフトバンク<9984>・KDDI(au)<9433>のいわゆる3大キャリアの利用者が全体の82.6%を占めており、この数字だけ見ると今なおこれらのキャリアのスマホに対する人気が根強いことがわかる。ただし、この数字は前年度と比較した場合減少傾向にあるという。
それに対して数字を伸ばしているのが格安SIMの利用者だ。冒頭で説明したように、今回の調査では格安SIMのシェアは10.1%という実績となっており、3大キャリアから格安SIMに乗り換えた利用者が多いということを現している。もちろん格安SIMを取り扱うMVNO業者は1社だけではないため、この数字は1つの業者が急激にシェアを伸ばしたというわけではなく、あくまでも格安SIM全体のシェが伸びているということを意味している。そんな格安SIM業者の中では「楽天モバイル」が最も利用者が多く、その後に「mineo」、「OCNモバイル」と続く。
格安SIMのシェア拡大の背景にあるのは、個人向け市場だけでなく法人向けにも格安SIMが入り込んでいることが関係しているとの見方もある。法人向け携帯電話は、これまでNTTドコモなどの3大キャリアが強い勢力をもっていた。しかし、利便性やビジネス利用の面などにおいて格安SIMでも十分利用に耐えられることや、通信コストを抑えられることなどが法人での利用者増につながっているという。
この現状に対して3大キャリアも格安SIM対抗策を打ち出している。新たな料金プランの投入やサービスの向上などを売りとして顧客の格安SIMへの流出を防ぐ構えだ。格安SIMは料金が3大キャリアと比較して安く利用できるというメリットがあるが、利便性やアフターフォローの面ではやや劣る部分があるのも否めない。単純な利用料金だけではなかなか格安SIMに対抗できなかった3大キャリアが今後どのような対策を進めていくか、利用者のみならず注目したいところである。(編集担当:久保田雄城)