NYの視点:トランプ米大統領のゲーム理論

2018年3月27日 07:37


*07:37JST NYの視点:トランプ米大統領のゲーム理論
米国政府は先週、500億ドル規模にのぼる対中関税を発表後、水面下で交渉を続けていた。米ウォールストリートジャーナル紙によると、米国のムニューシン財務長官とライトハイザー合衆国通商代表(USTR)は先週、習近平中国国家主席の経済アドバイザーを務め副首相に選出された劉鶴氏に宛て書簡を送付し、米国の半導体の購入や米国企業による中国フィナンシャルセクターへのアクセス拡大で、関税を削減する案を提示したという。また、交渉のため、米財務長官が中国を訪問する可能性もあるという。

中国の李首相は、「貿易戦争に勝者はいない、交渉で解決すべき」と前向きな方針を示した。さらに、貿易戦争を回避するために、米国ビジネスによる中国金融セクターへのアクセスをより容易にする公約を繰り返した。また、対米の貿易黒字を縮小させるために、中国が米国の半導体製品の購入を拡大する準備があると報じられている。

また、米国のムニューシン財務長官も週末25日のFOXニュースとのインタビュ−で、トランプ大統領が言及したように来年にかけ対中の貿易赤字を1000憶ドル削減したい。関税は「最初のステップ」であり「最終的には数カ国との合意にとどまる可能性もある」とした。中国との交渉も順調に進んでおり、「建設的な対話をしている」と関税削減に向けた合意に「注意深く楽観的」との見解を示した。米国は自由で均衡な貿易に向けて務めており長期的に経済に良好に働くと指摘。株式相場の下落に関しても、調整のひとつとして、懸念していないとの見解を示した。

トランプ大統領による交渉術は現職就任以降も一貫している。まず、厳しい条件を提示。交渉に持ち込む。交渉で、両者が合意できる中間点を見つけるというもの。北朝鮮問題もしかり。今までのところ成功している。関税に関しても、かなりの部分が免除となる可能性もある。今後も、市場はトランプ大統領の戦略に慣れる必要がある。

トランプ大統領がはなったサプライズで株式相場など金融資産が一時揺らいだ場合は、基本的に良い買い場となると可能性が強い。《CS》

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