歯に装着可能な超小型センサー、米大学が開発 口腔内の化学成分を計測
2018年3月26日 15:52
●塩分、糖分、アルコール分を監視する2ミリ四方のチップ
臨床試験や入院中の患者の栄養状態を監視する新たな超小型センサーが開発された。このセンサーにより、ナトリウム、グルコース、アルコールの量を測定できる。開発したアメリカのタフツ大学は、雑誌「Advanced Materials」に詳細を掲載している。将来的には、あらゆる栄養成分の測定を可能にすることが目標だという。
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●歯に直接付着する超小型センサー
口から入れたものが体内でどのような生理反応を起こしているのかを正確に知るために開発されたこのセンサーは、2ミリ四方の超小型で歯に直接装着できる。口腔内に存在している化学成分を記録し、収集した情報をモバイルデバイスに送信するのである。
将来的には、体内に存在するあらゆる栄養素、化学物質をリアルタイムでモニタリングすることが可能になるという。
●食物が薬物や治療に与える影響を探る
この超小型センサーが開発された理由はただ一つである。
食物が、薬物や治療にどのような影響を与え、症状の改善を妨害する可能性があるのかを探るためであった。
正確に体内に入ったものと出てくる成分を把握し、体内でどのような反応が起こっているのかを熟知することは、臨床試験や治療中の患者にとっては非常に重要なことである。
過去にも、この状況に対応するために電子マウスピースや装置が開発されてきたが、正確性と小型化において問題が残っていた。
●電磁信号を収集して送信する新たな技術
アメリカのタフツ大学が開発した今回の技術は、過去のものとは一線を画している。2ミリ四方の超小型のために、いかなる歯にも装着可能であるということ、パスポートに埋め込まれたチップ同様に電波を読み取り識別し送信することが可能になったのである。
小型の装置は、金製で二層となっている。その内部には、栄養素や化学成分を吸収し生体応答する物質が埋め込まれており、電磁波に変化させることができる。塩化ナトリウムやグルコースが吸収されると、センサーはある種の電磁スペクトルに反応する。この方法により、口腔内の化学物質を24時間態勢で監視できるのである。
●将来的には口腔内以外にも適用可能な技術
現在のところ、このシステムによって測定可能な栄養素は非常に限られている。また、装着部位も歯や肌のみとなっている。
しかし、その有用性を考えると将来的にはあらゆる栄養素や化学物質を測定し、体内の他の部分にも適用可能になることが求められている。
タフツ大学生物医学工学のフィオレンツォ・オメネット教授はこう語る。
「われわれは、REID (radio-frequency identification ) の領域での改善に成功し、非常に動的な環境にある成分の情報取得を可能にしたのです。つまり、理論的にはナトリウムやグルコース以外の物質の計測も、将来的には十分可能ということです」。