Facebook、Brexitや米大統領選に大きな影響与えたとされる企業アカウント停止
2018年3月22日 09:40
Facebookは16日、情報戦略企業Strategic Communication Laboratories(SCL)や関連会社Cambridge Analyticaなどのアカウントを一時停止したことを発表した(Facebookのニュースリリース、Mashableの記事、The Vergeの記事)。 Facebookは2015年、英ケンブリッジ大学教授のAleksandr Kogan氏が同社のプラットフォームポリシーに反し、Facebookアプリで収集したユーザーのデータを2社およびEunoia TechnologiesのChristpher Wylie氏に渡していたことを認識。アプリを削除したうえで、Kogan氏およびデータの受領者に対してデータ削除と削除の証明書を提出するよう要求した。これに従って4者は証明書を提出していたという。しかし、最近になってすべてのデータが削除されてはいないという報告を受けたため、事実関係が確認されるまで4者のアカウントを一時停止することになったとのこと。一方、Cambridge Analyticaはデータをすべて削除したと反論している。 Kogan氏が作成したアプリ「thisisyourdgitallife」は「心理学者による調査アプリ」として人格を予想する機能を提供していたそうだ。このアプリはおよそ27万人がダウンロードし、ユーザープロフィールや「いいね」したコンテンツ、友達に関する情報へのアクセスを許可していたという。 ただし、The New York TimesやThe Observerの報道によれば、Wylie氏はCambridge Analyticaの元社員かつKogan氏にアプリ開発とデータの提供を依頼した人物であり、今回の告発者本人でもあるようだ。Wylie氏によれば、収集したユーザーのデータは5,000万人分以上だといい、Cambridge Analyticaはこのデータをもとに有権者の心理モデルを作り、効果的なターゲット広告を表示するなどして2016年の英Brexitキャンペーン成功や米大統領選のトランプ陣営の勝利に多大な影響をもたらしたとみられている。英情報コミッショナーオフィス(ICO)は17日、Facebookのデータが不正に取得・使用された可能性について調査を行っていることを発表した(Recodeの記事、Mashableの記事[2])。 各メディアはソーシャルメディアで過去最大級のデータ侵害だと報じているが、FacebookはKogan氏のデータ収集はユーザーの同意を得たものであり、システムが侵入されたわけではないなどとして、本件はデータ侵害ではないと主張している。