恐竜はどうやって卵を温めていたか 北海道大学などの研究
2018年3月18日 21:49
「恐竜が卵を温める方法」の理論的推定に成功した。名古屋大学博物館の田中康平・日本学術振興会特別研究員と北海道大学総合博物館の小林快次准教授、カナダ・カルガリー大学およびロイヤル・ティレル古生物博物館との共同研究によるものだ。
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恐竜の卵や巣の化石は全世界的に多量に発見されている。従って恐竜は様々な環境で巣を作り、卵を温めていたことは明らかだ。しかし、具体的にどうやって彼らが卵を温めていたのかという研究はこれまであまり行われてこなかった。
この研究では、巣の化石の堆積物を調べることで卵を温める方法を推定した。恐竜といっても多種多様に渡るので様々な営巣方法があったわけであるが、砂の中に卵を産めて太陽熱や地熱を利用する方法、植物の発光熱を利用する方法などがあったことが推定されている。
なお、恐竜は北極圏(現在のシベリア)にも存在した。卵の化石が発見されるのだから冷涼な環境下でもかれらが繁殖しえたことは間違いないのだが、いったいどうしてそんなことが可能であったのかは謎であった。太陽熱だけを利用する方法ではかなり温かい地域でないと恐竜の卵を孵化させるのは無理だが、地熱や発酵熱、抱卵熱を利用する方法であれば、おそらくはシベリア(当時のシベリアの夏の平均気温は現在よりは高く、19度ほど)の気温環境下でも恐竜の繁殖は可能であったろうという。
研究にあたって参考とされたのは現生のワニと、ツカツクリという鳥の仲間である。彼らは恐竜にかなり近い仲間(鳥に至っては恐竜の子孫そのものだという説もあるほどだ)であるわけだが、彼らはやはり、植物の発光熱や、土壌の地熱を卵の孵化に利用するのである。
極域からの卵の化石は現状、シベリア以外では見つかっていないとのことだが、理論上はシベリア以外の極北でも恐竜の棲息は可能だったと考えられ、今後の発見が期待されるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)