名古屋大など、エディアカラ年代の生物の巣穴化石を発見
2018年3月16日 16:57
5億5,000万年前、すなわちエディアカラ期の、生物の巣穴の化石が発見された。名古屋大学、ウィスコンシン大学、高知大学、モンゴル科学技術大学、岩手県立博物館、東北大学などの共同研究によるもので、発見された場所はモンゴルの西部とのこと。
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これだけ途方もないスケールの昔だと5億年でも6億年でもたいして変わりが無いように聞こえるかもしれないが、そうではない。5億5,000万年前だというのはとても重要である。なぜなら5億4,000万年前にカンブリア紀の始まり、いわゆるカンブリア爆発が起こるからだ。
現在地球上に存在する生命、たとえば我々人類を含む脊椎動物などもそうだが、その基本となる形はカンブリア紀に形成されたものがほとんどだ。カンブリア以前、最古の生物群であるエディアカラ動物については、謎が非常に多い。あまりに古すぎるためなのか何なのか、化石もほとんど見つからない。どのような存在であったのかについても、ほとんど謎だらけなのだが、クラゲに似たものがいる程度で、その姿かたちもかなり我々の想像する生物のイメージとは異質なものである。(なお、エディアカラ期のクラゲに似た生物が今いるクラゲの祖先なのかどうかは明らかではない)。
さて、今回見つかったのは生痕化石である。生痕化石というのは生物そのものの化石ではなく、間接的にその生物の生態を伝える残存物のことだ。分かりやすい例を挙げれば、恐竜の巣穴の化石、足跡の化石、糞の化石などと言ったようなものである。
そもそも、エディアカラ期の生物が巣穴を作ったり、海底の土を掘り返したりするということ自体、これが初めての発見で、古生物学の世界で言う「カンブリア期の農耕革命」(海底環境の変化がもたらされた現象のこと)についての定説がこれによって覆されるかもしれないという。
なお研究の詳細はRoyal Society Open Science誌に掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)