一回の服用で治療が完結 塩野義製薬がインフルエンザの新薬発売
2018年3月15日 07:25
塩野義製薬は14日、抗インフルエンザウイルス薬「ゾフルーザ錠10mg・20mg」(一般名:バロキサビル マルボキシル、開発コード:S-033188)を新発売したと発表した。
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ゾフルーザは、同社が創製したキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬で、既存の薬剤とは異なる新しい作用機序(人体に効果を及ぼす仕組み)によって、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する。1回のみの錠剤の服用で治療が完結するため、利便性が高く、良好なアドヒアランス(患者の理解による治療法)効果が期待できるという。
2015年10月に厚生労働省より、「先駆け審査指定制度」の対象品目に指定され、2018年2月28日に製造販売承認を取得した。
先駆け審査指定制度は、厚生労働省が2014年に導入した「先駆けパッケージ戦略」の一つとして実施された制度。有効な治療法のない、希少がんや難病等の重篤な疾患に対し、世界に先駆けて、革新的な医薬品、医療機器、再生医療製品を日本発で早期に実用化するのが目的である。
同制度の対象品目に指定された「ゾフルーザ錠」は、具体的にはA型またはB型インフルエンザウイルス感染症に効果がある。通常、成人及び12歳以上の小児には、20mg錠2錠を1回、体重80kg以上の患者には20mg錠4錠を1回投与する。
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬は、インフルエンザウイルスが細胞の中で増殖するのを防ぐ働きを持ち、従来の細胞の外に出たウイルスの広がりを抑える薬より抑制効果が高いとされる。(記事:南条 誠・記事一覧を見る)