マンション価格、2017年は過去最高を更新

2018年3月6日 14:02

 2017年に発売されたマンションの平均価格が前年と比較した場合3.9%増加の4739万円であることが不動産経済研究所の調べでわかった。このマンションの平均価格調査は1973年から調査が行われており、この金額については調査開始以来過去最高の金額を更新した。また、1平方メートルあたりの単価についても6.3%増加の69.6万円となっており、こちらの単価もまた過去最高を更新している。

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 マンションの平均価格が高値の状態が続いている背景には、建築費や地代の高騰などの製造コストが上がっていることが背景として考えられる。新築マンションの建設そのものは、おもに東京や大阪といった都市部に集中しており、建設できる用地は全国的に見ても決して多くはない。そのため、マンションの平均価格が高値を更新しているのも地方ではなく都市部での状況を考える必要がある。

 現在、全国的にみてもマンション市場そのものは決して好調な状態というわけではない。しかし、不動産業全体で見ると売上については回復しており、こうした不動産業が順調な推移を見せていることからマンションデベロッパーについても業績が好調であることから、マンションについても価格をおさえる必要が低いということになる。つまり、マンションの販売が少なかったとしてもその分についての投資回収は別の業態で可能だから、という理由が考えられる。したがってマンションの価格についても敢えて値下げに踏み切る必要性が低いことから平均価格が上がっているというわけだ。

 また、それに加えて建設コストの増加も大きく関係しているとの見方もある。建設業の労働者人口の不足による人件費の増加や、オリンピック誘致にともなう需要拡大により、マンション建設用地の価格高騰など、マンション建設に関するコストは上昇傾向にある。デベロッパー側にとっては、マンションの価格を下げなくても業績が好調であるというだけでなく、マンションの価格を値下げしたくてもできない要因があるのかもしれない。

 このように、マンション価格についてはデベロッパー側の業績に関する要因や、建設コストの増加など様々な理由から高い水準が続いている。こうした要因については劇的な変化を起こす可能性は低いため、今後もマンション価格についての水準は現在と同じ状態で推移していくとみられている。こうしたマンション価格についてのカギを握っているのが金利である。金利が今後上昇に転じると個人のマンション購入意欲の低下につながるだけでなく、マンション業者側の利益も減少するため、現在と同じマンション価格の水準の維持は難しくなるだろう。マンションの価格はこうした様々な要因で変動するため、市場の動向だけでなく総合的な判断が必要ということになるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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