【編集長の視点】トーセは続落も開発受託のスマホゲームアプリのヒットを見直しゲーム株人気再燃に向け逆張り妙味
2018年3月5日 09:46
トーセ<4728>(東1)は、前週末2日に58円安の1811円と続落して引けた。日経平均株価が、大幅に3日続落し、再び世界同時株安の懸念が強まってきたことが波及し、同社株にも目先の利益を確定する売り物が続いた。ただ下値での売買高は増加し、今年2月初めの前回の世界同時株安時には、1546円まで突っ込んだ安値から逆行高特性を発揮して短期間に500円超幅の急騰を演じたことを連想して逆張りの買い物も続いた。昨年12月18日には同社が開発を受託したスクウェア・エニックス配信のスマートフォンゲーム「ドラゴンクエストライバルズ」の累計ダウンロード(DL)数が、配信開始1カ月余で1200万DLを突破し、今年2月22日には、同じくYohoo!ゲーム版の「ドラゴンクエストライバルズ」の配信が開始されたことも、買い手掛かりとなっている。
■「ドラゴンクエストライバルズ」は配信開始1カ月余で1200万DLを突破
同社は、デジタルエンタテインメント事業で据え置き型ゲーム機の「Nintendo Switch」や「プレイステーション4」向けの家庭用ゲームソフトや、スマートフォン向けのモバイルコンテンツの企画・開発・運営を展開しており、一時落ち込んだ据え置き型ゲーム機も「Nintendo Switch」が好調な売れ行きをみせるなど回復に転じ、大型タイトルの開発スケジュ-ルの変更・期ズレなどが相次いだスマホアプリも、新タイトルの開発・配信開始、さらにヒットが続くなど業績環境は様変わりに好転している。
このスマホアプリのうち、「ドラゴンクエストライバルズ」は、昨年11月2日の配信開始からわずか20日後の11月21日に1000万DLを突破し、さらに12月18日には1200万DLを突破する大ヒットとなった。さらに今年2月22日には、同アプリのYahoo!ゲーム版が配信開始となった。同社は、今2018年8月期の開発タイトルを合計25タイトルと計画し、うちスマホ向けは前期比4タイトル増の18タイトル、据え置き型ゲーム機タイトルでは、「Switch」向けが1タイトルのほか、引き合いが増加し試作案件が複数進行中であり、これが、今2018年8月期業績の大幅続伸要因となっている。
今2018年8月期業績は、売り上げ56億5400万円(前期比20.2%増)、営業利益5億1000万円(同65.7%増)、経常利益5億5300万円(同36.2%増)、純利益3億800万円(同47.1%増)と見込んでいる。今後の開発タイトルの動向次第では、前2017年8月期業績と同様に上ぶれ着地期待も高まってくる。
■下値確認の25日線をバネに逆行高特性を発揮し今年2月月初相場の再現が有力
株価は、前2017年8月期業績の上ぶれ着地、今2018年8月期業績の続伸予想で3200円高値まで上値を伸ばし、「ドラゴンクエストライバルズ」の配信開始では昨年来高値3830円まで急伸した。その後は、2100円台を出没する中段固めを続けたが、今年2月初めの世界同時株安の直撃で1546円安値に突っ込んだ。同安値からは、Yahoo!ゲーム版配信開始も手掛かりにゲーム関連株の逆行高特性を発揮して2066円までリバウンド、25日移動平均線を上抜いた。足元では、再度の世界同時株安の再燃懸念で2月安値からの上昇幅の半値押し水準まで調整、25日線で目先の下値を確かめた。2月月初相場と同様に逆行高展開は有力で、25日線をバネに下げ過ぎ訂正で一段の戻りを試そう。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)