慶大、新種のクマムシを発見 「ショウナイチョウメイムシ」と命名

2018年3月5日 16:00

 慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市、冨田勝所長)の荒川和晴准教授(環境情報学部)、ポーランド・ヤギェウォ大Lukasz Michalczyk准教授らの共同研究グループは、山形県鶴岡市内で新種のクマムシを発見、これを「ショウナイチョウメイムシ」(ラテン名:Macrobiotus shonaicus)と命名した。

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 クマムシというのは緩歩動物門に属する動物の総称であり、また俗称である。「乾眠」によって宇宙空間でも生存できるなどの、非常に特殊な生存能力によってよく知られているが、内部でかなり多くの種が存在する。ざっと世界中で1,200に及ぶ。

 日本だけでも100年以上前から研究されており、日本に167種が生息するが、日本で新種が発見された例は珍しい。具体的に言うと26種で、9つは海で暮らすクマムシ、17は陸で暮らすクマムシであった。特に山形県に絞っていえば初めての発見であるという。

 なお、クマムシの乾眠だが、実は全てのクマムシができるわけではないということだけは留意点として記しておきたい。

 さて、なぜショウナイチョウメイムシと名付けられたのかといえば、発見された場所がいわゆる庄内地方に分類されるからである。現在、ショウナイチョウメイムシの飼育の試みが行われており、同時にゲノム解析が進められている。

 また、クマムシには単為生殖を行うものが多いのだが、このショウナイチョウメイムシは有性生殖を行う。そこで、クマムシの有性生殖について研究する上で有益な存在であるという。

 ちなみに荒川准教授によれば、この新種が発見された場所は「以前住んでいたアパートの駐輪場」だそうである。

 なお、研究の詳細は、アメリカの科学誌「PLOS ONE」のオンライン版において発表されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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