就業者数増加も求人倍率高止まりで人手不足が続く、総務・厚労省調査
2018年3月5日 14:17
総務省と厚生労働省の発表によると、引き続き就業者数が増えている一方で、求人倍率も高い水準が続いているため、多くの業種や地域で人手不足となっていることが分かった。
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■失業率が大きく低下
2日、総務省が発表した「労働力調査(基本集計)」によると、1月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、2017年12月と比べて0.3ポイント低下した。2017年の失業率を振り返ると、1月に3.0%で始まり、2月(2.9%)、3・4月(2.8%)と改善したものの、5月(3.0%)に再び増加。その後、6月(2.8%)にやや改善して以降、10月までは横ばいとなり、11・12月(2.7%)にやや改善している。
男女別では、男性が12月の2.8%から1月に2.5%と0.3ポイント低下、女性が12月の2.7%から1月に2.2%と0.5ポイント低下した。男女別と年齢層別で特に失業率が下がったのは女性の15~24歳で、12月の5.4%から1月に3.5%となり、1.9ポイント低下した。次いで、女性の55~64歳(12月:2.1%、1月1.3%、0.8ポイント低下)、男性の15~24歳(12月3.8%、1月3.2%、0.6ポイント低下)などで失業率の低下が大きかった。
■卸売小売業で就業者数が減少
就業者数は6,562万人で、昨年1月と比べて92万人増加。雇用者数は5,880万人で、昨年1月と比べて87万人増加。どちらも61カ月連続で増加している。完全失業者は159万人。昨年1月と比べて38万人減少となり、92カ月連続で減少が続いている。
雇用形態別では、正社員が3,447万人(昨年1月比+40万人、以下同じ)、パートが1,012万人(±0)、アルバイトが456万人(+20万人)、契約社員が313万人(+29万人)、派遣社員が143万人(+19万人)、嘱託が118万人(+5万人)、その他が77万人(-1万人)だった。
産業別では多くの分野で就業者が増加しており、宿泊業・飲食サービス業が414万人(昨年1月比+23万人、以下同じ)、学術研究・専門・技術サービス業が236万人(+19万人)、教育・学習支援業が337万人(+18万人)、その他サービス業が442万人(+11万人)、情報通信業が209万人(+10万人)などとなっている。反対に減少した産業は、卸売業・小売業が1,070万人(-30万人)、生活関連サービス業・娯楽業が225万人(-6万人)の2つ。
■1974年以来となる高い水準か続く
2日、厚生労働省が発表した「一般職業紹介状況」によると、1月の有効求人倍率は1.59倍で昨年12月と変わらず、新規求人倍率は2.34倍で12月と比べて0.04ポイント低下した。
2017年の有効求人倍率は1月に1.43倍で始まると、毎月0.1~0.3ポイント上昇し、12月には1.59倍となった。2009年以降、ほぼ右肩上がりで求人倍率の上昇が続いており、1974年以来の高い水準となっている。
■北陸や中部地方が人手不足
産業別の一般新規求人状況によると、求人数の多い産業は、医療・福祉(23万6,246人)、卸売業・小売業(14万9,857人)、その他サービス業(13万5,494人)、製造業(10万5,410人)、宿泊業・飲食サービス業(8万6,917人)の順。
また都道府県・地域別有効求人倍率(就業地別・季節調整値)によると、富山(2.16)、福井(2.15)の2県が2倍を超えている。次いで、岐阜(1.99)、三重(1.95)、石川(1.91)、山形(1.90)、愛知(1.88)、香川(1.84)、島根(1.82)、岡山(1.82)、山口(1.81)など、中部、北陸、中国地方の求人倍率が高めだ。反対に、最も求人倍率が低いのは北海道(1.26)と高知(1.26)。次いで沖縄(1.29)、長崎(1.35)、鹿児島(1.36)、神奈川(1.37)、青森(1.43)、和歌山(1.45)などとなっている。(記事:県田勢・記事一覧を見る)