青年期の運動が重要、心肺持久力と筋力の弱い中学生は将来の生活習慣病リスクが高い

2018年3月4日 21:56

 心肺持久力と筋力の弱い中学生は、強い中学生に比べて、将来の生活習慣病のリスクが約4倍もあることが明らかになった。また、心肺持久力が中程度以上であれば、筋力が弱くとも、共に強い者と比べて代謝異常リスクは高まらないことも明らかになった。

【こちらも】たった2週間で筋力が30%ダウン?本当に怖い「運動不足」

 調査、研究を行ったのは新潟大学大学院医歯学総合研究科血液・内分泌・代謝内科の曽根博仁教授らの研究グループと新潟県阿賀野市。同市の中学生を対象に中学生生活習慣病予防事業を実施し、中学2年生を対象に健康診断、体力テスト、生活習慣実態調査が行われた。

 研究は、対象となる同意を得て、13-14歳の993名(男子523名・女子470名)を対象とした。

 対象者の健康診断や体力テストなどの調査結果をもとに体力指標と代謝指標の関連を調査、検討をおこなったところ、心肺持久力と筋力が共に高い者と比べて、両方低い者は将来的に代謝異常リスクを有する可能性が相乗的に約4.3倍まで高まることが判明。

 同じく、心肺持久力と筋力が共に高い者と比べて、両方低い者は、代謝異常リスクを持つ可能性が約3.2倍にまで高まることも判明したのである。

 しかし、筋力が低くとも、心肺持久力が中程度以上であれば、代謝異常リスクは、心肺持久力と筋力が共に高い者より高くなることはなかった。

 以上の結果から、心肺持久力と筋力の両方が弱い中学生は代謝異常リスクが高いことになり、それを防ぐためには青年期に運動をしておくが重要になることが結論付けられたのである。

 発表された調査報告書にも『心肺持久力と筋力の両方が低い中学生には、運動を強く勧める指導を行っていく必要がある』と指摘している。

 このような調査・研究を行う背景には、青年期の代謝異常が成人以降まで待ち込まれることが多く、早期発見と生活改善が望まれていることが関係している。しかし、青年期には血液検査や血圧測定などの健康診断を受ける機会が少ないため、発見されないまま放置されているのが現状なのである。

 今回の調査により、青年期の健康診断の重要性も明らかになったといえるのではないだろうか。(記事:和田光生・記事一覧を見る

関連記事

最新記事