北極圏で冬季の最高気温記録! 例年を30度も上回り、地球温暖化が加速か
2018年3月1日 11:59
北極圏で冬季最高気温が観測され、その温度が例年を30度も上回っているという。気温が0度を越えており、海氷に覆われている範囲も、観測史上最小を記録している。
【こちらも】北極の大気汚染はエコ対策にも関わらず改善されていない? 北大などの研究
発表を行ったのは、米独立研究機関バークリー・アース(Berkeley Earth)の主任科学者ロバート・ローデ(Robert Rohde)氏。
一連の高気温は「成層圏突然昇温」と呼ばれる現象によるものだと説明した。
成層圏突然昇温とは、本来は気温が安定している成層圏で急激に温度が上昇する現象である。冬、北極域では低気圧が優勢の状態だが、アリューシャン付近の高気圧とヨーロッパの高気圧に挟まれることによって、北極域の低気圧が分裂し、高気圧が優勢となる。それに伴い風が西風から東風へと変わり、成層圏で急激な気温上昇が起こるのである。
成層圏突然昇温が起こると気流が蛇行しやすくなるため、北極域の寒波が中緯度の地域に流れ込む可能性が高まる。去年から今年にかけ、日本も含めた世界各地に到来した寒波も、成層圏突然昇温の影響によるものである。
ちなみにアメリカ海洋大気庁(NOAA)の発表によれば、2017年の北極圏の気温は2016年に次いで過去2番目に高かったとしている。このまま状況が推移すれば、2016年~2018年の3年間が、北極圏において、過去の観測史上もっとも気温が高い年にになってしまうのである。
20世紀前半の北極圏の気温上昇は、熱帯地域の太平洋や北大西洋といった北極から離れた海域の表面温度上昇が、大気の動きに影響を与え、地表付近の熱を北極付近に運ぶことで起こったと、京都大学の研究グループによって明らかにされている。
しかし、今回のような状況は、明らかに地球温暖化が影響しているものとみられる。
ノルウェー北極研究所(Norwegian Polar Institute)の気候科学者、ロバート・グラハム(Robert Graham)氏もAFP通信社の取材に対し「冬季に北極点付近の気温が0度を超えた例は、1980年から2010年までの間に4回あったと考えられている。それが今や最近の過去5回の冬のうち、4回で発生している」と述べ、警告している。(記事:和田光生・記事一覧を見る)