トヨタ、走行・環境性能を大きくアップさせた新型パワートレーン発表
2018年2月27日 11:39
トヨタ自動車は、「いいクルマづくり」の構造改革および技術開発プラットフォーム「Toyota New Global Architecture(TNGA)」により、優れた走行性能と高い環境性能の両立を追求した、新しい無段変速機(CVT)・6速マニュアルトランスミッション・2リッターエンジン・2.リッターハイブリッドシステム・4WDシステムを開発しました。
【こちらも】「第4次産業革命」の本質を理解せよ トヨタが開発した「省ネオジム耐熱磁石」
TNGAによって開発するパワートレーンについてトヨタは、2021年までに、エンジンは9機種・17バリエーション、トランスミッションは4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入を予定していることを先般発表しているが、今回の無段変速機(CVT)と6速マニュアルトランスミッション・2リッターエンジン・2リッターハイブリッドシステムはそのうちの4機種となる。
なかで注目すべきは、新型の無段変速機、つまり新型CVTである「Direct Shift-CVT」だ。これは、トランスミッションの基本性能である「伝達効率の向上」と「エンジン高効率領域の活用」「高応答変速」を強化するため「機械損失低減」と「ワイドレンジ化」「変速追従性向上」に重点をおいて開発したミッションだ。ダイレクトでスムーズな走りと現行比+6%の優れた燃費性能を実現したという。
メカニカルな視点で注目すべきことは、ベルトでは効率の悪いロー側使用時の伝達効率向上のために、乗用車用CVTとして世界で初めて発進用のギヤを採用したことが挙げられる。
発進用ギヤの採用で、ベルト駆動域をハイ側に設定。効率よくベルトを使用しながらワイドレンジ化し、変速比幅7.5を実現した。同時に、入力負荷が軽減され、ベルトおよびプーリー部の小型化を実現した。ベルトの狭角化およびプーリーの小径化で、変速速度を20%向上させた。
欧州のクルマ社会におけるメインとなるマニュアルトランスミッションも新開発した。グローバルな市場要求に的確に応えるためだ。新型6MTは、重量が7kg低減、全長は24mm短縮し、世界トップレベルのコンパクトサイズを実現した。シフトチェンジの際に自動でエンジン回転を合わせる「iMT制御」を採用、不快なショックを感じさせないスムーズな変速操作をサポートする。
発表された新型の2リッター直列4気筒直噴エンジンは、「Dynamic Force Engine」と呼び、高速燃焼技術、可変制御システムの採用のほか、排気・冷却・機械作動時などのエネルギーロスを抑え、熱効率を向上させ、高出力を実現した。ガソリン専用エンジンの熱効率は40%、ハイブリッド用エンジンの熱効率は41%を達成した。
なお、新開発ハイブリッドシステムは、発進時や加速域で電力を高めてエンジンの回転を抑え、リニアで伸びのある加速感を実現したことがポイントだ。従来のプリウスなどに採用するパワーコントッロールユニット(PCU)は、20%の小型化と10%の軽量化を図り、トランスアクスル直上搭載を実現した。
新AWDシステム「Dynamic Torque Vectoring AWD(ダイナミックトルクベクタリングAWD)」は、走行状況に応じて後輪トルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」を採用、ドライバーの思い通りの旋回性能と、高い悪路走破性を実現する。加えて、前後輪の車輪軸に世界初の「ラチェット式ドグクラッチ」を備え、2WD走行時には、後輪に動力を伝達させる駆動系の回転を停止させて損失を低減し、燃費向上を図る「ディスコネクト機構」を採用した。
今回、トヨタが発表した新しいパワートレーンは、今春以降、搭載車種をグローバルで拡大していく。5年後の2023年には、トヨタ単独の年間販売台数(日本・米国・欧州・中国)の約8割を目指す。(編集担当:吉田恒)