ブラザー、燃料電池市場に正式参入 狙うは産業用途
2018年2月23日 08:57
ブラザー工業は22日、燃料電池市場に正式参入すると発表した。その第一弾として、出力4.4キロワットの燃料電池「BFC4-5000-DC380V」の受注を開始する。
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水素と空気中の酸素で発電、排出は水のみ。燃料電池の特長だ。温室効果ガス排出の削減といった低炭素社会にとどまらず、温室効果ガス排出ゼロを目指すというCO2フリー社会の実現に向けて燃料電池への期待は大きい。
エネファームのような家庭用燃料電池で普及が進むも、自動車の燃料電池ステーションの普及計画は遅れ気味だ。今回の発表は、企業や自治体などを対象とした産業用の燃料電池市場への参入であり、普及の起爆剤となるような工夫がなされる。
非常用電源や電力を供給するコジェネレーションシステムとしての市場を開拓する。
●燃料電池の構成
ブラザーの燃料電池は、固体高分子型セルを採用。動作温度が低く、起動時間が短いため、ON/OFFの多い用途での利用に適するという。
エアコンやレンジなど消費電力が高い機器が稼働しても、蓄電池不要で素早く反応できるのだろう。
さらには、非常電源や燃料電池の普及で、部材のコストダウンが可能となる。
●BFC4-5000-DC380Vの特長
水素を漏らさない、溜めない、万が一の際でも漏れを検知して止めるトリプルセーフティ機構で絶対の安全安心を実現する。
水素と酸素が反応すると、水と電気が発生するが、一部の水素は反応できないという。この反応できなかった水素を再利用し、より効率の良い発電する。このことにより、ハイパワー、安定した発電、蓄電池なしでの反応を可能にする。
遠隔地からIoTを用いて発電状況や燃料状況を把握できる仕組みを持つ。産業機器に必須な維持・管理を助ける。
●燃料電池(ブラザー、BFC4-5000-DC380V)のテクノロジー
産業用の燃料電池としての普及を目指すのが、競合との差別点であろうか。
高い安全性、安定性、IoTへの対応を特徴とする。出力は380ボルト、4.4キロワットだ。72時間の長期運転が可能な高出力モデルを実現であり、通信基地局など、社会インフラに電力を供給する。72時間は、地震災害などで復旧に必要といわれる時間だ。
なお、純水素型燃料電池による電気・熱・水が供給可能なコジェネレーションシステムは、ブラザー、清流パワーエナジー、森松工業の3社で協業し開発。岐阜県八百津町防災センターへの導入実績がある。(記事:小池豊・記事一覧を見る)