燃えにくい安全なリチウムイオン二次電池、日立と東北大が試作に成功
2018年2月20日 22:38
日立製作所と東北大学は、燃えにくい新しい電解質を利用した、安全性の高いリチウムイオン二次電池の試作に成功した。容量100Whのラミネート型電池で基本性能を確認し、釘刺し試験において不燃を実証したという。
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日立と、東北大学の多元物質科学研究所(IMRAM)の本間格教授らの研究グループが作ったのは、燃えにくい、つまり通常よりも引火点が高い電池である。充電や放電の電池としての特性は確認済みで、また、従来のラミネート型電池では発火してしまう、「釘刺し試験」と呼ばれる実験において、その高い不燃性が実証されている。
釘刺し試験というのは、電池の発火の原因となる内部短絡を釘を刺すことによって引き起こすことによる、電池の発熱・発火の耐性を調べる試験である。
さて、燃えない電池というのは、単に事故を起こしにくいというだけのことではない。従来の電池システムにおいては、発火が生じ得る電池を組み込むことが必然であったため、補強材や冷却システムを組み込む必要があった。しかし、それが必要なくなるか、あるいは縮小されるために、電子システム全体の小型化や、低コスト化をはかることができるのである。
ちなみに一般的なリチウムイオン二次電池の有機溶媒の引火点は20度を下回る。これが燃えないようにするために冷却機構などを組み込む必要があり、どうしても大型化してしまったのである。
しかし今回開発された電池では、高リチウムイオン電導性が従来よりも4倍以上高いのにも関わらず、有機電解液よりも100度以上高い引火点を実現することができた。
これにより、安全性の高い、高容量化・高エネルギー密度化されたリチウムイオン二次電池の、たとえば車載用、あるいは民生用のさまざまな応用が考えられる。
今後は、これをさらに性能向上していく方向で研究を進めていくという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)