電子工業生産、2017年は回復 民生用がダウンも産業用や電子部品がプラス
2018年2月20日 11:49
電子情報技術産業協会(JEITA)の発表によると、2017年の電子工業生産実績は、民生用電気機器の落ち込みを産業用電子機器や電子部品・デバイスがカバーして、前年比プラスとなったことが分かった。
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■2016年のマイナスから回復
19日、JEITAが、2017年12月と2017年通期における電子工業生産実績を発表した。2017年の電子工業計は、11兆9,714億6200万円で、前年比106.4%だった。
ここ数年を振り返ると、2014年の11兆7,961億7,500万円(前年比102.6%)、2015年の12兆4,040億3,500万円(同105.3%)と伸びていたところに、2016年は11兆2,151億4,000万円(同90.3%)と落ち込んだ。2015年には届かなかったものの、2014年を超える程度までに回復したことになる。
個別では、民生用電子機器は6,312億8,000万円(前年比95.7%)、産業用電子機器は3兆3,911億5,300万円(前年比102.7%)、電子部品・デバイスは7兆8,950億2,900万円(同109.1%)となり、民生部分の落ち込みを他の2つがカバーしている。
■薄型テレビは大きさで明暗が分かれる
民生用電子機器の中で、数量・金額ともに伸びたのは、40型以上の薄型テレビが32万8,971台(前年比106.5%)、511億8,300万円(同112.1%)、デジタルカメラが390万2,078台(同107.4%)、1,711億1,100万円(同106.8%)だった。
またビデオカメラ(放送用を除く)は数量はやや落ち込んだ(8万7,823台、前年比94.4%)ものの、金額は大きく伸びて(101億3,600万円、同124.5%)いる。逆にカーオーディオ(218万540台、前年比125.9%、507億3,000万円、前年比85.3%)や、カーナビゲーション(607万9,351台、同102.6%、3,351億3,900万円、同93.2%)は数量は伸びたものの、金額は前年比マイナスとなっている。
特に生産が落ち込んでいるものに、40型未満の薄型テレビがある。数量で8万7,823台(前年比19.2%)、金額で23億9,900万円(同15.4%)となり、先の40型以上と合わせると、薄型テレビ全体では、41万6,794台(同54.3%)、535億8,200万円(同87.5%)となり、数量・金額ともに前年比マイナスだ。
■根強いファクシミリの需要
産業用電子機器で数量・金額ともに伸びているのは、ネットワーク接続機器、電子計算機本体の汎用コンピュータ(メインフレーム)、情報端末のモニタ、X線装置、環境計測機器など。ともに落ち込んでいるものには、電話機、インターホン、放送機器、プリンタ、電気計器などがある。
興味深いものではファクシミリがあった。金額は減っている(13億300万円、前年比90.0%)が、数量が伸びて(1万8,309台、同105.7%)おり、根強い需要が伺える。
また事務用機器の複写機では、デジタル機が数量・金額ともに伸びている(3万4,270台、同158.9%、109億6,910万円、同122.2%)一方で、フルカラー機はどちらも落ち込んで(6万8,032台、同59.6%、333億8,900万円、同65.2%)いる。
■電子部品・デバイスは全体的に好調
電子部品・デバイスは、全体の好調さ(同109.1%)に合わせて、数量・金額ともに伸びているものが多い。そうした中で、あえて数量・金額ともに落ち込んでいるものを探すと、変換部品、光電変換素子のレーザダイオードや太陽電池セル、マイクロコンピュータのMPU(マイクロプロセッサ)、ディスプレイドライバなどがあった。(記事:県田勢・記事一覧を見る)