高校入学から大学卒業までの費用は935万円、地方出身者は1人暮らしも負担に
2018年2月17日 13:58
日本政策金融公庫の調査によると、高校や大学などにおける学費等の総額が相変わらず高い傾向にあり、特に地方の家庭にとっては子供に1人暮らしをさせる費用負担も大きいことが分かった。
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■前年から減少も高止まりの傾向に
14日、日本政策金融公庫が、2017年度の「教育費負担の実態調査結果」を発表した。これは高校生以上の子供を持つ保護者4,700人を対象にインターネットアンケートで調査を行ったもので、調査対象の平均は、年収が828万円、子供の数が1.8人、主たる家計維持者の年齢は50.7歳となっている。
高校入学から大学卒業までにかかる学費は935.3万円で、前回の2016年度調査結果である975.0万円からやや減少した。1,000万円を超えていた平成20年(2008年)代当初よりも減ってはいるものの、2015年度調査結果の899.4万円を超えており、高止まりしている様子も感じられる。
■私立理系では1,000万円オーバー
935.3万円の内訳は、高校1年時に99.1万円、2・3年時に各69.5万円、大学1年時に238.2万円、大学2・3・4年時に各153.0万円。大学1年時が突出するのは、もちろん入学金などが含まれるためだ。
さらに同じ大学でも国公立大学では741.3万円(高校3年間の238.1万円を含む、以下同じ)に対し、私立文系では976.2万円、私立理系では1045.0万円となる。また高専・専修各種・学校では561.7万円、私立短大では622.4万円だ。
■公立高校と私立高校では141万円の平均年収差
子供の在学先で世帯年収を比較した調査結果もある。国公立高校に通う子供がいる世帯の平均年収は713.7万円、私立高校では854.7万円と、141万円の差があった。
これが大学となると、国公立大学では860.2万円、私立大学では915.7万円となり、その差は55.5万円と縮まる。もっとも大学進学の費用が捻出できず、大学進学を諦めた低収入世帯があるのは間違いない。
■地方に生まれることがデメリットに
大学や短大、専門学校、もしくは高校進学にあたって子供に1人暮らしを始めさせる世帯も多いだろう。1人暮らしを始める際にかかる費用の平均は37.5万円。学費を含めた平均では116.6万円となった。ここで見逃せないのが都市部と地方の格差だ。
自宅外通学者がいる世帯の割合は26.7%で、1世帯当たりの自宅外通学(=1人暮らしをさせている)数の平均は0.32人だった。自宅外通学数が多い都道府県は、山形県(0.61人)、広島県(0.59人)、鹿児島県(0.57人)、長野県(0.57人)、山梨県(0.54人)のように地方が多い。反対に自宅外通学者の少ないのは埼玉県(0.06人)、神奈川県(0.14人)、東京都(0.16人)、大阪府(0.18人)、千葉県(0.20人)など都市部となる。
つまり地方家庭の子供が都市部に進学を考えた時、1人暮らしをするための費用が余計に必要となるため、進学を諦めざるを得ないこともあるだろう。教育の機会は均等であることが望ましいが、これを実現するのは難しそうだ。(記事:県田勢・記事一覧を見る)