建設業の業績、2018年度は堅調に推移と予測 政府予算案から分析
2018年2月15日 12:31
高度成長から50年、80年代バブルから30年、日本の社会インフラは老朽化している。当然、これを保守・維持していくための公共事業が必要である。また東日本大震災からの復興事業も道半ばである。これに加え2020年には東京オリンピックが控えている。当然、政府の建設工事予算も増加傾向で推移している。
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その中で建設業の人手不足感は深刻化している。厚労省の公表した求人倍率統計を見ると、17年12月分で「建設・採掘の職業」の求人倍率は4.68倍、とびや鉄筋組み立て工などの「建設躯体工事の職業」では10.75倍にものぼっている。
人材サービス関連のヒューマンタッチ総研は、現在審議中の2018年度予算案における公共事業関係費などから18年度の建設業の動向について独自に分析を行い、その結果を公表した。
レポートでは、「建設市場業績は18年度も堅調に推移すると予測」、ICTやロボットなどの活用や働き方改革の推進関連予算の計上で「労働生産性向上に向けた取り組みが進む年度になる」と結論づけている。
18年度予算案では、公共事業関係費が前年度比0.04%増の5兆9789億円、過去4年増加で推移している。内訳を見ると、「地域における総合的な防災・減災対策、老朽化対策等に対する集中支援」が前年度比0.5%増、「道路・河川管理施設等の老朽化対策などの戦略的な維持管理・更新」4.8%増など、防災・減災、インフラ老朽化対策などに前年度を上回る予算が計上されている。
また、国交省の試算では、13年度の維持管理・更新費が約3.6兆円であったのに対し2023年度には4.3~5.1兆円程度になると推計されており、レポートでは社会インフラ整備の必要性が引き続き重視され、「こうした市場が今後も堅調に成長していくと考えられる」と結論している。
国交省の統計を見ると、手持ち工事高(未完成部分)は増加傾向で、17年10月には前年比5.9%増の34兆4949億円に達しており、「消化が順調に進めば、18年度も堅調な売上高を期待できる」とレポートは予測している。
懸念材料は人材の確保である。オリンピック関連の納期が迫り人手不足が深刻化する中、消化の為に人材確保ができるかどうかが重要だ。ヒューマンタッチ総研の髙本和幸所長は「ICT技術や新しい工法の導入により、工事の生産性を高める取り組みを進めることが喫緊の課題」とコメントしている。(編集担当:久保田雄城)