子育て支援法改正案が閣議決定、保育士配置を緩和へ

2018年2月14日 12:01

 社会問題となっている待機児童の減少についての対策は様々な角度から進められている。待機児童が増える要因については様々なものがあるが、その要因のひとつと考えられている認可保育園に入れないという状況を踏まえ、子供・子育て支援法案が閣議で決まった。閣議決定された内容には、都道府県ごとに対策協議会が設置されるとともに、各自治体を越えての認可保育園の利用ができるようになる。

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 認可保育園とは、国の定める児童福祉法に基づいた認可を受けていない保育園のことをいう。児童福祉法では、保育園の広さや保育士の人数など様々な基準を儲けており、その基準を満たしていない保育園は無認可保育園となる。認可保育園が高い人気があるのは、安心して子供を預けることができるというだけでなく、保育料が安いという点も関係している。今回閣議決定された改正案では、住んでいる地域で認可保育園に入れなかった場合、定員が余っている他の認可保育園で受け入れることができることも想定している。

 なお、保育園の基準というものには国が法律で定める以外にも市区町村が独自に設定している基準もある。一般的に、市区町村が独自に設定している基準のほうが国が定める基準に比べ手厚くなっている場合が多い。そのため、この基準を満たすことができず保育園の数が足りなくなってしまい、結果的に待機児童が増えてしまったのではないか、という点も今回の法改正に関係している。規制を緩和することで保育園を利用しやすくし、待機児童を減らしたいというのが主な考えだ。

 しかし、この保育園の規制緩和については必ずしも肯定的な意見ばかりではない。特に保育の現場や各自治体からの反発が多く、保育園の規制緩和をすることで保育の質が低下し、子供の安全性が守れなくなる可能性もあるためだ。それぞれの自治体が国の定める基準よりも手厚い基準を設けている理由は、やはり子供の安全を最優先に考えたうえでのことだという。

 待機児童は必ずしも保育園の整備をするだけで解決するという問題ではない。しかし、保育園に入りたいという保護者からの要望が多いのもまた事実である。この点が興味深いのは、規制緩和をすると子供の安全が守れなくなると考える自治体側と、それでも保育園に入れたいという保護者側の要望との間にずれが生じている点ではないだろうか。そして、待機児童対策とはこうしたずれに対してそこをどのように埋めていくのか、という点こそが重要になってくるといえるだろう。(編集担当:久保田雄城)

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