物理法則の速度限界はミクロの系でもマクロの系でも普遍に存在する、東北大が発見

2018年2月14日 17:02

 従来、物理法則には「量子速度限界」と呼ばれるミクロなスケールの運動に関する不等式が存在するが、これはミクロなスケールに限られるものであると考えられてきた。しかし今回、東北大学の研究グループが、この法則はマクロなスケールにおける集団現象に関しても普遍的に存在することを明らかにした。

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 この問題を説明するためにはどうしても以下の二つの用語についての解説が必要である。「不確定性原理」と前述の「量子速度限界」だ。ミクロなスケールでは、ニュートン力学の法則とは異なる、量子力学に基づいた特性が発動する。これが不確定性原理である。

 ひとことで説明すると不確定性原理とは「ミクロなスケールにおける原子や分子の位置に関する測定結果のバラつきと、運動量の測定結果のバラつきの間の積を、ある普遍的な数値よりも小さくすることができない」というものである。

 この関係性は必然的に量子限界速度の存在を導き出す。

 量子速度限界とは何か。量子力学においては、原子や分子のミクロなスケールにあるものの状態を記述するベクトルの時間発展、この時間発展が満たす方程式をシュレーディンガー方程式と呼ぶのだが、それに従って、ある初期状態からそれと最も異なる状態までに変化する時間を見積もると、これ以上は短くできないという限界がある。それが量子速度限界である。ちなみに1945年に発見された。

 だが、今回の研究では、量子力学そのものの根本的な見直しが提示されている。量子速度限界の根本的起源は、不確定性原理ではなく、運動方程式において広く成立するという。またそして、マクロスケールにおける様々な速度限界が発見されている。

 なお研究の詳細は、アメリカ物理学会が発行するPhysical Review Letters誌において公開されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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