【編集長の視点】ルネサスイーストンは続落も3Q高利益進捗率業績見直しに自動運転関連株人気が加わり突っ込み買い妙味
2018年2月7日 09:35
ルネサスイーストン<9995>(東1)は、前日6日に56円安の740円と大幅続落して引けた。米国株価の過去最大の下げを発端に、前日の日経平均株価が、大幅に3営業日続落するなど世界同時株安が進行している相場環境下、同社株にも目先の利益を確保する売り物が続いた。ただ取引時間中につけた安値からは、30円幅戻して引け長大下ヒゲを形成しており、下値では突っ込み買いが交錯した。同社が今年1月30日に発表した今2018年第3四半期(2017年4月~12月期、3Q)業績が、大幅続伸して今3月期通期予想業績に対して高利益進捗率を示したことを見直して前期業績と同様に上ぶれ着地連想を強めているもので、下げ過ぎ訂正買いの一段の再燃が期待できそうだ。半導体技術商社として世界的に開発競争が急ピッチに進んでいる自動車の自動運転やエコカー(EV)など向けにマイコンを供給するトップ企業に位置することから、関連株人気も高め、フォローの材料となろう。
■自動運転向けマイコンなどが好調に続伸し為替差損の減少も寄与
同社の今期3Q業績は、売り上げ608億8700万円(前年同期比6.3%増)、営業利益16億800万円(同90.1%増)、経常利益17億4700万円(同82.8%増)、純利益12億4100万円(同96.3%増)と大幅に続伸し、利益は、昨年9月に上方修正された今3月期通期予想業績を絶対値としてすでに2300万円~8200万円上回る高進捗率を示した。品目別に集積回路の売り上げが、自動車・産業分野向けのマイコン、産業分野向けロジックICが増加して前年同期比5.3%増、半導体素子では、パワーデバイスやトランジスタが自動車・産業・民生分野向けに同9.0%増と好調に推移し、この増収効果・売上総利益率の向上に販管費の減少、さらに為替差損の減少も加わって好決算につながった。
今3月期通期業績は、この3Q好決算にもかかわらず昨年9月の上方修正予想を据え置き、売り上げ802億円(前期比3.4%増)、営業利益15億8500万円(同35.6%増)、経常利益16億6500万円(同34.3%増)、純利益11億6000万円(同39.4%増)と見込んでいる。同社は、前2017年3月期も、3Q業績が高利益進捗率を示したにもかかわらず3月期通期予想業績を変更せず、実際に発表された通期業績は予想を上ぶれて着地しており、今期もこの再現が有力視されている。市場コンセンサスでは、今期純利益を13億円超と観測しており、期末に向けての同社の業績ガイダンスが注目される。
■25日線割れで長大下ヒゲを形成しをPBR0.7倍の下げ過ぎ訂正に再発進
株価は、四半期決算の好業績の発表や今期業績の上方修正のたびごとに好感し、25日移動平均線をサポートラインに右肩上がりの上昇トレンドを続け、今期3Qの高利益進捗業績で業績の再上ぶれ期待を高めて昨年来高値835円まで買われた。世界同時株安の影響による2日間の続落で、25日線を割れたが、長大下ヒゲを形成しPBRは0.77倍、PERも16倍台と下げ過ぎを示唆している。値ごろ妙味のあるハイテク株として再騰に転じ、再度の昨年来高値奪回から2014年9月につけた939円に向け戻りを試す展開を強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)