東大など、世界最高速の共焦点蛍光顕微鏡を開発
2018年2月2日 17:41
共焦点蛍光顕微鏡というものがある。詳細は後述するが、その世界最高水準の速度を実現するものを、東京大学、科学技術振興機構などが共同で開発した。
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共焦点蛍光顕微鏡。コンフォーカル顕微鏡とも言う。これは実は光学顕微鏡の一種である。最高水準の顕微鏡は電子顕微鏡で、分解能では光学顕微鏡は古いものであるという理解が一般的ではあろうかと思うが、これはその限りではない。
物凄く単純に説明すると、共焦点蛍光顕微鏡というのは、白色光の代わりにレーザー光を用いた、極めて高精度の顕微鏡のことである。レーザー光を当てられた試料は蛍光を発する。それを分析して画像化するのである。
2008年にノーベル賞をとった緑色蛍光タンパク質(GFP:Green Fluorescent Protein)を用いた生命機能解析などもこのタイプの顕微鏡で行う。高い分解能、定量性から、昨今の最新研究領域では必須の存在になりつつあると言われる。
特に重要なのは、細胞の画像、生細胞の三次元構造情報などを取得できる、ということにあるのだが欠点が一つある。遅いのである。撮影速度が遅いのだ。それが共焦点蛍光顕微鏡の最大の欠陥であった。
今回発明されたものはしかしそれを高速化することに成功したため、毎秒16,000フレームの速度で生体試料を観察することができる。がん発見のための超高精度血液検査法の開発、バイオ燃料を生産する微生物の研究などに大いなる貢献を果たすことになるだろうと目されている。
なお、研究の詳細は、Optica誌に掲載されている。本研究を主導したのは内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)であった。研究は2015年4月から2017年3月にかけて行われたものである。
この研究は、IoBMT (Internet of Bio-Medical Things)への展開に向けた大きな一歩であると、研究発表は締めくくられている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)