ダスト濃度自動計測器のJIS制定 中小企業の海外進出への一歩に
2018年2月1日 06:39
経産省は、大気環境保全対策及び監視等を目的として、自動計測による連続モニタリングで幅広く使用されているダスト濃度自動計測器について、JIS B7996(排ガス中のダスト濃度自動計測器の性能評価方法)を制定したと発表した。
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火力発電所、セメント工場、清掃工場の焼却炉等では、ダスト濃度自動計測器を使用。これは大気汚染防止法への対応であるが、JIS Z8852では測定方法しか規定していない。
ダスト濃度自動計測器の性能評価方法の規格化は、大気汚染防止法を実施する上でのエビデンスの活用に加えて、自動計測器の海外市場への進出に欠かせない。自動計測器のJIS規格化があれば、日本国のお墨付きの品質と認知されるからだ。
今回「新市場創造型標準化制度」を活用して、性能評価方法JIS B7996を制定。次に、自動計測器のJIS規格化を目指すシナリオである。
●ダスト濃度自動計測器の種類
ダスト濃度自動計測器は主に、光散乱方式、光透過方式、及び摩擦静電気検出方式の3方式がある。
光散乱方式とは、排ガスに測定光を照射。ダストによって散乱される光の強度が、ダスト濃度と相関関係にあることを利用してダスト濃度を測定する。
光透過方式も、排ガスに測定光を照射。ダストによって遮光される測定光の減衰量が、ダスト濃度と相関関係にあることを利用してダスト濃度を測定する。
摩擦静電気検出方法とは、排ガス中にプローブ状の電極を挿入。ダストが電極に衝突又は近傍を通過するときに生じる電荷の移動及び誘導がダスト濃度と相関関係にあることを利用してダスト濃度を測定する。
●ダスト濃度自動計測器(日本企業、JIS化)のテクノロジー
今回の経産省のプレスリリースで紹介されたダスト濃度自動計測器の会社は、田中電気研究所、大東計器、マツシマメジャテックである。日本を代表するダスト濃度自動計測器メーカであるが、その企業規模はまだ小さい。
日本の成長戦略の一環はインフラ輸出だ。輸出時には、製品の品質を認証することが求められるが、海外の認証を取得する方法や国際標準化を提案するには、手間がかかるばかりか、資金的な余力もない。
従来の業界団体を通じたコンセンサス形成を経ずに、迅速な国際標準提案やJIS化が可能な経産省の「新市場創造型標準化制度」を活用した。
世界各国で環境規制の機運は高まりを見せる。火力発電所やセメント工場の厳しい要求に応えてきた日本の技術。JIS化は海外市場へ進出する一歩となるであろう。(記事:小池豊・記事一覧を見る)