【業績でみる株価】ラクオリア創薬は高値圏、疼痛と消化器管を主領域とする創薬ベンチャー
2018年1月29日 13:46
ラクオリア創薬<4579>(JQ)は、疼痛と消化管疾患を主領域とする創薬ベンチャーである。19年12月期黒字化を目指している。株価は急伸して上場来高値圏だ。目先的な過熱感を解消するための調整を交えながら上値を試す展開が期待される。
■疼痛と消化管を主領域とする創薬ベンチャー
ファイザー日本法人の中央研究所を前身として、新規開発化合物の創出を目指す創薬ベンチャーである。炎症および神経性の疼痛と、胃食道逆流症や過敏性腸症候群を代表とする消化管疾患を主な領域として、適応症の追加などで研究開発対象領域の拡大も進めている。
IOCN(Integrated Open Collaboration Network)を基盤として、新規開発化合物の知的財産権を製薬会社に導出(使用許諾契約によるライセンスアウト)する収益モデルである。
上市済み製品は、カンジダ症を適応症とするキャンディン系抗真菌薬のアニデュラファンギン(米国製品名Eraxis)、MRSA感染症を適応症とするグリコペプチド系抗MRSA抗菌薬のダルババンシン(米国製品名Dalvance)である。
パイプラインは、胃食道逆流症を主適応症とするカリウムイオン競合型アシッドブロッカーP-CAB(化合物コードRQ-00000004)が米国と日本でフェーズ1、胃不全麻痺・機能性胃腸症・慢性便秘を主適応症とするセロトニン受容体5-HT4部分作動薬(RQ-00000010)が英国でフェーズ1、下痢型過敏性腸症候群を主適応症とするセロトニン受容体5-HT2B拮抗薬(RQ-00310941)が英国でフェーズ1、胃不全麻痺・機能性胃腸症・術後イレウスを主適応症とするモチリン受容体作動薬(RQ-00201894)が前臨床、癌に伴う食欲不振および悪液質症候群を主適応症とするグレリン受容体作動薬(RQ-00433412)が前臨床、神経障害性疼痛(化学療法起因性冷アロディニア)を主適応症とするTRPM8遮断薬(RQ-00434739)が前臨床である。
17年2月子会社化したテムリックは癌領域に特化した創薬事業を展開している。パイプラインは、再発または難治性の急性前骨髄球性白血病(APL)を主適応症とするレチノイン酸受容体作動薬TM-411(一般名タミバロテン)である。
17年11月には、丸石製薬との間で10年8月締結したEP4拮抗薬に関するライセンス契約を終了したと発表している。
12月25日にはマルホとの選択的ナトリウムチャネル遮断薬に関するライセンス契約締結を発表した。マルホに本化合物の全世界を対象とした独占的開発・製造・販売権を供与する。
12月28日には韓国CJヘルスケアと、胃食道逆流症治療薬tegoprazan(RQ-00000004/CJ-12420)に関する新たなライセンス契約の締結、およびCJ社が出願したtegoprazanの結晶形に関する特許についてのライセンス契約締結を発表した。
また韓国CJヘルスケアと締結した5-HT4部分作業薬(化合物コードRQ-00000010)に関するライセンス契約終了を発表した。胃食道逆流症治療薬tegoprazan(RQ-00000004/CJ-12420)との優先順位等を総合的に検討した。
1月12日には、エランコ社および当社の導出先である米国アラタナ社が、EP4拮抗薬(00000007、Galliprant)について、欧州委員会から犬の変形性関節症に伴う痛みの治療薬として、欧州における動物薬製造販売承認を取得したと発表している。
■19年12月期黒字化目指す
17年12月期連結業績予想は12月25日に増額修正した。マルホとの選択的ナトリウムチャネル遮断薬に関するライセンス契約締結に伴う契約一時金等を計上し、売上高を13億03百万円、営業利益を2憶98百万円の赤字、経常利益を3憶33百万円の赤字、純利益を3憶29百万円の赤字とした。
18年12月期は赤字見込みだが、上市によるロイヤルティ収入やステージアップによるマイルストン収入の増加で、19年12月期に黒字化(売上高16億68百万円、営業利益1億28百万円、経常利益1億27百万円、純利益1億21百万円)を目指す計画だ。
■株価は上場来高値圏
株価は12月中旬に動意づいて1000円近辺でのモミ合いから上放れ、13年高値を一気に突破して上場来高値更新の展開となった。1月22日には3320円まで上伸した。1月26日の終値は2885円、時価総額は約584億円である。
週足チャートで見ると、13週移動平均線が26週移動平均線を上抜いて先高観を強めている。目先的な過熱感を解消するための調整を交えながら上値を試す展開が期待される。(MM)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)