19世紀から20世紀の民間薬、頭痛に有効と証明される
2018年1月26日 22:47
●植物をベースにした民間薬の有効性が認められる
地中海農・林業研究機関とイタリア学術会議は、19世紀から20世紀に使用されていた植物ベースの生薬が、医学的に見ても有効であると発表した。学術誌「Journal of Ethnopharmacology」に掲載された記事によると、過去に使用された79パーセントの植物が頭痛に対し有効であることが認められた。
●世界に蔓延する「頭痛」
世界保健機関(WHO)によると、頭痛は最も一般的な神経系の障害のひとつであるとされている。一方で、植物をベースにした生薬を頭痛薬として見直す医師が増えていることもあきらかになっている。
「Journal of Ethnopharmacology」に発表された内容によると、19世紀から20世紀に生薬として用いられた植物の79パーセントには、最新の薬理学に照らしても頭痛に有効と思われる鎮痛作用があることが判明した。つまり抗炎症作用、鎮痛作用に加え、頭痛のメカニズムに対抗する二次代謝産物も有している。
●「民間薬」に含まれる有効成分
研究に参加した生物医学者ジュゼッペ・タガレッリによると、イタリアをはじめとするヨーロッパで民間薬として使用されていた植物が頭痛に効く理由は以下のようになる。
生薬には、フラボノイド、テルペノイド、フェニルポロパノイドなどの成分が含まれている。これらの成分が、頭痛の原因になる一酸化窒素、セロトニン、ヒスタミン、アラキドン酸の放出をブロックするためだという。
●医学の父ヒポクラテスも使用していた薬草
さらに驚くべきことに、19世紀から20世紀に民間頭痛薬の原料となっていた薬草の42パーセントは、紀元前5世紀から使用されていたと明らかになったことである。
医聖ヒポクラテス、古代ローマ時代の博物学者プリニウス、薬理学の父ディオスコリデス、構成の医学に大きな影響を与えたガレノスなど、古代医学の偉人たちもこうした薬草の有効性について言及していたのである。
●ヒマワリ、ヨモギも伝統的な薬草のひとつ
たとえば、ヒマワリ、ヨモギ、エルダーベリーから抽出されるジテルペンは、非ステロイド性抗炎症薬の代替になるという。またリウマチによる関節の炎症を軽減するという結果も出ている。
2000年以上にわたって継承されてきたこれらの民間薬の知識は、これからの新薬開発の手がかりになるのではという見直しもされつつある。