トヨタ設立の基金、ブラジルで交通問題解決策コンテスト 現地市長らと協力
2018年1月25日 11:19
トヨタ・モビリティ基金(TMF)は23日、渋滞や環境汚染に苦しむブラジル都市中心部の交通事情を改善するアイディアコンテストを行うと発表した。「InoveMob Challenge」と題されたこのコンテストは非営利団体ワールド・リソース・インスティチュート(WRI)ブラジルと共に実施。選考には市長や市の代表者も参加する。
【こちらも】トヨタが考える次世代物流・移動システム(上)次世代EV「e-Palette Concept」 壮大な実験
想定している応募者はブラジル国内のモビリティサービス事業者や技術系の起業家、研究者など。都市中心部へのアクセス改善に寄与する革新的なモビリティソリューションの構築を目指し、これまでにない発想をもった人々を募る。
選考では書類審査、ソリューション提案、実証実験といった各段階を経て最優秀賞を決める。まず書類審査で革新性や持続可能性、実現可能性などを考慮し、応募者のなかから12チームを選出。その12チームはソリューションを改良するためのワークショップに参加後、市長連合会主催のイベントで市長らにソリューションを提案する。
そこで興味をもった市とマッチングし、5チームが実証実験を行うチームとして選ばれる。そして実証実験の結果から、最も優秀な1チームが決まる。最優秀賞のチームはTMF、WRIブラジルと共にソリューションを更に磨きあげた上で2020年12月までより規模の大きな実証実験を行う予定。
なお、実証実験をする5チームにはその費用として各2万ドル、最優秀賞チームには10万ドルがTMFから提供される。応募受付は2018年3月9日までで、最優秀賞は同年12月に決まる。
急速な経済発展が進むブラジルにおいて交通需要の増大は慢性的な交通渋滞といった問題を引き起こしており、特にオフィスや商業施設が集中する都市中心部で顕著だ。WRIブラジルの調査にて、ブラジル都市部の市民は交通渋滞により年間約10~15日を失っているとされるほどである。
各都市には空港バスや路線バス、地下鉄などの移動手段が多くあり、シェアリングサービスといった新しい手法も生まれてきている。しかし問題解決には至っていない。
主にアジア諸国で豊かなモビリティ社会、言い換えれば移動しやすい社会を実現させるべく活動するTMFと、50カ国以上で地球環境や都市の在り方について研究するWRI。両者は今回のコンテストを通じて、それらの問題の解決に取り組む。(記事:小椋恒示・記事一覧を見る)