“AmazonGo”オープン レジ・ストレスからの解放という革命が始まった!
2018年1月24日 21:40
22日(現地時間)、米アマゾンが最新のテクノロジーを詰め込んだ“AmazonGo”を、本社のあるシアトルにオープンした。この店は16年12月にコンセプトが発表になってから、業界に多大な話題を提供した注目の店である。
【国内では】JR東日本が”無人コンビニ”の実証実験を開始
店舗の入り口には自動改札のようなゲートがある。あらかじめ専用のアプリをダウンロードし、自分のAmazonアカウントを登録して、クレジットカード等の決済情報を紐づけしておく。AmazonGoへ入店する時に、スマホをゲートにかざしてQRコードをスキャンして入店する。店側は誰が入店したか把握する。その後は、買いたいものを自分の買い物袋やポケットにいれて、ゲートを出るだけだ。通常のスーパーにあるような買い物かごやレジはどこにも見当たらない。初日の様子を見ていると、入店前にアマゾンのエコバックが手渡されていた。レジに並んで前の客の清算の様子を、うんざりしながら見ている必要はない。
店内にはおびただしい数のカメラとセンサーの網が張り巡らされ、来店客の買い物動向を追跡している。来店客が手に取った商品や、気が変わって棚に戻した商品も全てリアルタイムで把握され、買い物袋にどういう商品がどれほど入っているのかが全て追跡されている。
買いたい商品を自分の買い物袋に入れてゲートを通過する、「just walk out」(商品を選んだら、決済なしで店外へ)という言葉そのままに、ゲートを通過した瞬間に登録したクレジットカードから自動で決済される。
日本では昨年11月にJR東日本が無人のコンビニエンスストアを大宮駅(さいたま市)改札外のコンコースに開設して、レジなし店舗の実証実験を行った。東証マザーズに上場を果たしたベンチャーのサインポストがディープラーニング技術を駆使して開発した「スーパーワンダーレジ」がレジなしの店舗を実現した。
利用方法はAmazonGoスタイルで、来店客は入口ゲートで電子マネーをかざして入店する。来店客が好みの商品を棚から取り出すと、サインポストによって開発された人工知能「SPAI」が商品を認識し、来店客ごとに紐づけて決済ゲート到着前に会計を完了する。来店客は会計結果が示された画面で確認し、交通系電子マネーなどで決済して出口ゲートから退店する。
日本では、経済産業省が音頭を取って「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を行い、25年までにセブンイレブン、ファミリーマート、ローソン、ミニストップ、ニューデイズで取り扱う全ての商品(計1000億個)にICタグを貼り付けることが明記された。
コンビニの来店客は商品をカゴや袋に入れたまま、ICタグ読み取り機を組み込んだ台に置くだけだ。スーパーではセルフレジでバーコードを一つ一つ読み取るシステムが始まっているが、個々に読み取る必要がないという意味では大きな進歩だ。
コンビニ大手5社が共通のICタグを使えば、納入業者間の調整の必要もない。各社の系列のスーパーなどに利用が広がることを経産省は期待している。ネックはICタグにコストが掛かることだ。1ミリ以下の厚さで、商品の包装に組み込むことがベストだが、ICタグの価格が1つ10円前後ではコンビニの商品価格に吸収できない。技術革新と大量生産でどこまでコストを削減出来て、誰がコストを負担するのかを明確にする取り組みが並行して進められる。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る)