空間を飛び回る極小サイズのLED光源、東大などが開発
2018年1月10日 17:14
超音波収束ビームを利用し、空中を浮遊・移動する、直径4ミリメートルという極小のLED光源が開発された。その名は「Luciola(ルシオラ)」。研究開発に携わったのは、東京大学、科学技術振興機構(JST)、慶應義塾大学などからなる共同研究グループである。
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このシステムは電池を必要としない。無線給電による受信回路を、専用ICとして持っている。それによって小型化と軽量化に成功したのだ。なお、浮いているのは超音波の力によってである。
これは広義には3次元映像用の空中ディスプレイの一種だ。昨今盛んに研究されているものであるが、究極のディスプレイとして期待されている。ただ、鏡を用いたものが主流であり、三次元映像に「触れられる」という新しいタイプのものに対する研究需要があった。
ルシオラの実現に必要なものは、空中を浮遊・移動させるための技術と、その浮遊物体であるLEDにエネルギーを供給する技術、その二つであった。
超音波収束ビームは具体的にどのように供給されているかというと、40キロヘルツ、つまり可聴域外の音波を発する17個×17個の2次元格子状の17センチメートル四方の超音波アレーを2台、20センチメートルの距離をおいて対置させる。そしてその両者の間の空間の一点に、超音波ビームを収束させるのである。
このビームの焦点に物体を差し入れると、空中浮遊を起こすことができる。さらに位相制御によって焦点を動かすと、ミリメートル単位の精度で精密に操作することも可能である。
なお、空中移動する小型電子回路内蔵発光体が開発されたのは、これが史上初めてのことであるという。
なお、研究の詳細は、Proceedings of the ACM on Interactive, Mobile, Wearable and Ubiquitous Technologies (IMWUT)にオンライン掲載されている。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)