残業100時間未満の上限規制、「賛成」46%
2018年1月7日 21:15
政府は2019年を目途に、繁忙期の例外として残業時間月100時間未満等の罰則付き残業上限規制を盛り込んだ労働基準法改正を実施する予定だ。月100時間未満という基準は経営者側と労働者側双方の意見を取り込んだものであるが、これにより長時間労働が抑制されるという見方がある一方、むしろ助長するのではないかという見方もあり意見は二分されている。
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人材情報サービスのディップは同社が運営するサイトのユーザー1602人を対象に「労働時間の上限規制」についてアンケート調査を実施した。調査結果によれば「残業時間の上限、月100時間未満」の規制について、「賛成」と答えた者が46%、「反対」と答えた者が22%、「どちらともいえない」が32%で「賛成」が最も多かった。
「賛成」の理由を見ると、「規制がないと無理な労働を強いる職場があるので上限があるのはいいこと」、「規制が厳しくなれば、雇用者数が増える」、「きちんと数字で明示することで意識が高まるので規制時間の多い少ないに関わらず良い」などで、規制により企業の残業への対応が変化し労働環境が改善されるのではないかと期待する意見が目立つ。
一方、「反対」の理由としては「100時間は多すぎて規制にはならない」、「100時間未満なら残業させてもよいという解釈に繋がるのではないか」など、むしろ残業の常態化を危惧する意見が目立った。
勤務先で「労働時間削減の取り組みが行われているか」という問いに対しては、「充分に行っている」が19%、「まあまあ行っている」が39%、「あまり行っていない」22%、「まったく行っていない」19%となっており、58%で何らかの取り組みが行われているという結果になっている。取り組みの内容としては「ノー残業デー」が58%と最も多い。
「取り組みの結果、労働時間は変わったか」という質問に対しては、「十分に改善」が14%、「まあまあ改善」が35%、「あまり改善していない」が26%、「まったく改善していない」が21%、「悪化している」が4%で、「改善」しているのは合計49%で半分に満たない。
「月100時間未満」というのはあくまで上限であり目標値である。この規制で時間削減が実現するのか、逆に残業の常態化の是認につながるのかは企業の対応の仕方にかかっている。(編集担当:久保田雄城)