熱血アニメ列伝その31 ワイは猿や!プロゴルファー猿や!!『 プロゴルファー猿 』
2018年1月7日 20:49
記事提供元:アニメコラムサイト|あにぶ
これを書いているのは、クリスマス当日。街の華やかな雰囲気の中、冬の寒さもなかなか厳しさを増している今日この頃。こんな時こそ、熱いアニメで体も心も熱くしたいものですね。
前回までは、比較的ここ最近の作品が続きましたが、今回はぐっと時代が遡って80年代に放送されていた作品をご紹介します。
今回この『熱血アニメ列伝』で扱う作品は……『プロゴルファー猿』です!
「まさかの藤子不二雄A作品!」って思う方も、あるいはいらっしゃるかもしれません。でも、他の藤子作品とは一線を画す熱さを持つこの作品を、特に今の若い方には是非知っていただきたいのです。
とりあえず、いつも通りあらすじから行ってみましょう!
Contents
1 自称「プロゴルファー」の天才ゴルフ少年の実力とは?『 プロゴルファー猿 』のあらすじ2 必殺技も熱い!けれど演出と作画がもっと超絶に熱い!!3 敵設定ながら実はホワイト?な影組織!スポーツ物に悪人はいない?
■自称「プロゴルファー」の天才ゴルフ少年の実力とは?『 プロゴルファー猿 』のあらすじ
猿谷猿丸(さるたにさるまる)は、自らを「プロ」と名乗り、時に賭けゴルフでへっぽこな腕のゴルファー相手にお金をまきあげる、そんな少年です。
その風貌は名前の通り、猿にかなり雰囲気が似ています。後にレギュラーになる「おっちゃん」と呼ばれる(正式な名前は最後まで不明)中年男性も猿丸の容姿を見て、まるで猿そのものだ、的な発言をしています。
木もすばやく登り、木から木へと身軽に飛び移る、その姿はまさに「野生児そのもの」。
そんな猿丸ですが、そのゴルフの実力は、数々の必殺技で、その辺のちょっとゴルフをやっている人間には到底及ばないほどの腕前です。先ほどの「おっちゃん」などはまさに良い鴨なぐらい。
そんな猿丸の実力に目をつけた人物がいます。その名は「ミスターX」。この作品の世界にはゴルフ界において、通常のプロ組織とは別に「影プロ」と呼ばれている裏のプロ組織が存在していて、そのボスがこの「ミスターX」なのです。
ミスターXは、猿丸を自分の配下に、つまりは「影のプロゴルファー」にさせる為に、影プロのゴルファーを猿丸に次々とぶつけていきます。
猿丸は、己のゴルフの能力と、時に新しい必殺技を開発したりしながら、次々と影のゴルファーを打ち破っていきます。
果たして、猿丸はミスターXの悪の手に屈してしまうのか?ゴルファーとして猿丸はどうなっていくのか?
■必殺技も熱い!けれど演出と作画がもっと超絶に熱い!!
『プロゴルファー猿』のあらすじ、いかがだったでしょうか?実に全153話の長い物語で、放送自体も1985年から88年と3年にも渡る、かなり長い期間に渡るものでした。
そう、この作品は80年代後半の時代の作品。最近の作品とは、色々な部分で異なる点が多く存在します。
何より、この時代的な要素と言える一番の特徴は、猿丸の持つゴルフにおける「必殺技」の数々でしょう。以下にそのいくつかを紹介します。
・旗つつみ:カップの上に立つ旗めがけて強打を打ち、故意に旗の部分にボールを当てて、ふわりとカップインを狙う大技。猿丸一番の得意技、
・岩返し:岩にボールを当てて、その跳ね返りを利用して、任意の場所にボールを落とす技。
・ブレーキ打ち:木の葉っぱ等を故意に通過させて、スピードを調節させて、距離を調節する技。
・あばれゴマ:ウェッジであげたボールに強烈な回転をかけて、まるでコマがカップの位置を探すかのようにグリーン上を円の軌道で動き回り、最終的にカップの中に吸い込まれるようにボールが入る、という技。
などの技で、次々と影プロのゴルファー達を打ち倒していく様は、それだけで「熱血系のアニメ」という認識を持っている方も多いと思います。
特に、この中でも最初にあげた「旗つつみ」という必殺技は、『プロゴルファー猿』という作品をあまり知らない人でも「プロゴルファー猿と言えば、旗つつみだよね」という事を知っているぐらいには有名です。
そんな必殺技がある事も、確かに「熱血してる」と思えるのですが。ここで個人的に取り上げたいのは、『プロゴルファー猿』という作品における演出法です。
先ほども書いた通り、放送は80年代後半のこの作品。ですが、今見てもそのプレイの描写における派手な演出は、それだけで胸を熱くする人も多いと思ってます。少なくとも、その演出だけで、自分はかなりこのアニメを熱く見る事が出来ます。
ギリギリと筋肉を硬直させて、力をかけているのを強調させる描写や、打った打球がグングン伸びていくときの空中を滑走するカメラワーク。打球も平気で透過光バンバン使って光る筋がビームのようにフェアウェイを飛んでいきます。
そんな演出の中で、猿丸の必殺技がここぞと言う時に決まるシーンにカタルシスを感じる、当時の子供達は多かったのではないでしょうか?
そして、もう一つ注目して欲しいのは。80年代後半の作品でありながら、その作画レベルの高さです。
この作品の総作画監督は「本橋秀之」さん。『六神合体ゴッドマーズ』での美麗な作画で女性ファンのハートをがっちりと掴んだ高い作画能力を持つ方です。
その方が、作画監督を務めるだけあって、特に番組中盤~終盤までの作画は、今見ても遜色ないほどの、高作画レベルを保っています。
オープニングは作画が初期という事もあって、そこまで高レベルの作画にはあるいは思えないかもしれませんが。
終盤の「プロテスト篇」(猿はあくまで「自称プロ」なので、公式のプロテストを受ける話が展開されます)辺りにおける猿丸の顔の描写など、どちらかと言うとコミカルな印象を受ける猿丸なのに、格好良い!と思えるほどの高レベルな作画と言えるでしょう。
これから何らかの形で『プロゴルファー猿』を見ようという方は、是非、この二つの点を気にしながら見て欲しいところです。
■敵設定ながら実はホワイト?な影組織!スポーツ物に悪人はいない?
前項で、熱い部分を紹介してきましたが、巨匠である藤子不二雄A先生の、名作と呼ばれるだけはある漫画が原作のこのアニメ。(熱血云々はともかくとしても)それだけでも視聴に値する作品だと思います。
dアニメストアなどでは、52話までが配信されていますし、DVDレンタルなども大手のレンタル屋さんであれば、置いてあるところも多いと思います。
何より、自分が見たCSのテレ朝チャンネルでの放送は、かなりのリピート率なのでチェックしていけば、見られる可能性が高くなるのではないかと。
さて、最後に小ネタ的なお話を。
『プロゴルファー猿』に登場する敵のボス、「ミスターX」。猿丸に対峙してはいるものの、今見返すとあんまり悪人でない事が分かって面白いです。
最近『ドラゴンボール』のフリーザ様が「理想の上司」的な扱いを受けるのと一緒で、この作品における「影プロの組織」の描写を見ていると……あれ?案外ホワイトじゃね?と思う事もしばしば(笑)。
選手育成には惜しみなくお金を出すみたいですし、多分試合の結果に対して明朗会計というか。金払いも良さそうです。
最終章である「プロテスト篇」における、猿丸への刺客「流喬四郎」には、心臓に持病があり、最終的にはプロテストを棄権してしまうのですが。結果的に猿に負けることになっても、ミスターXは流を叱責するどころか、寧ろ体の心配むっちゃしてる……。
顔マスクで覆って、帽子かぶって、マスクの上からサングラスかけてる、正直怪しさが歩いてるって風貌の人だけれども!根は良い人なんじゃなかろうか(笑)とかとか。
スポーツ物は、割とどんな作品でも「完全な悪者」的な人がよっぽど出ないので、見ていてさわやかさを感じる事も多いですよね。熱血アニメ好きの自分としても、こういう作品をついつい好きになってしまうのは、こういうさわやかさ故なのかもしれません。
とにかく、80年代後半の、これを読んでいる方には遠い過去の作品かもしれませんが、クオリティも熱血度もかなり高いこの作品を是非見て欲しいところです。
さて、2017年の執筆はこれが最後。今年も読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。皆様良いお年を(掲載は多分年明けだと思いますが)!
覚えていますか?幻の「 ザ・ドラえもんズ 」
2017.11.04
(あにぶ編集部/あすかつぐよし)