アルコール摂取と癌リスクの関連性を発見 ケンブリッジ大の研究チーム

2018年1月7日 19:35

●アルコール摂取により幹細胞のDNAが破壊される可能性があることが判明

 ケンブリッジ大学ケタン・パテル教授とその研究チームは、科学雑誌「Nature」にアルコール摂取と癌のリスクの関連性についての新たな研究結果を発表した。

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 それによると、アルコールを摂取することにより幹細胞のDNAが破壊される可能性が示唆されている。アルコールの摂取は、食道癌、乳癌、大腸癌など少なくとも7つの部位の癌に関連があると発表された。

●キーワードは二日酔いの原因でもある「アセトアルデヒド」

 ケンブリッジの研究チームは、アルコールが遺伝子に不可逆の影響を与えると想定し、マウスにエタノールを与え経過を観察した。研究チームは今回、アルコールを吸収中に体内で産生される「アセトアルデヒド」に注目した。アセトアルデヒドによって引き起こされる遺伝子の損傷を調査するために、染色体分析とDNAシークエンシングを行った。

 その結果、アセトアルデヒドは染色体異常を引き起こし造血管細胞に不可逆の影響を与える可能性があることが判明したのである。

 また、この研究結果は口腔癌、喉頭癌、食道癌、乳癌、肝臓癌、大腸癌などの7つの癌の発症原因を把握するために有効であるとも記述されている。

●アルコールの害から体を守る二重の防御構造

 今回の研究では、アルコールの害から体を守るメカニズムについても言及している。

 まず、第一の防御ツールは「アセトアルデヒド脱水素酵素(Aldh)」と呼ばれる酵素である。この酵素は、アセトアルデヒドをアセテートに分解する役割を果たす。研究者たちは今回、この酵素を除去したマウスにエタノールを投与したところ、酵素を有するマウスと比べて遺伝子に受けた損傷は4倍に上ることが判明した。遺伝子学的に、東南アジアの人々はこの酵素が欠如していることが多く、そのためにアルコール摂取による危険性によりさらされているといわれている。

 もう一つの防御ツールは、種々の遺伝学的損傷を修正するDNAの修復機能にある。しかし、この機能はすべての人に十全に備わっているわけではない。

 いずれにしても、アルコールを効果的に代謝できないとDNAに大きな損傷を与え、癌のリスクが高まることは間違いないという。また、アルコール代謝システムやDNA修復システムが完全であっても癌を引き起こす可能性は否定できないことから、研究はまだ途上といえる。

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