両脚に存在する体内体重計が明らかに 座る時間が長いと肥満になりやすいか
2018年1月5日 18:17
●ホルモンだけではなく骨も体内の脂肪を調節していることが判明
我々の体内には「レプチン」というホルモンが存在し、血中の脂肪分が増加するとそれを脳に伝えるという役目を果たしている。
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スウェーデンのヨーテボリ大学が発表した研究結果によると、この役目を果たしているのはレプチンにとどまらない。「骨」も、脳に情報を送り食欲を抑える役目を果たしているのだという。
●両脚に隠された体内体重計
体重計が自宅にあり、体重の増減をチェックしている人も多いだろう。ヨーテボリ大学生理学部が発表した研究では、我々はすでに体内に体重を有しているのだという。ただし、生活スタイルの変化により、この体重計が正しく作動しないこともある。
ヨーテボリ大学のジョン・オーロフ・ヤンソン教授が、米国科学アカデミー紀要(Pnas)に発表した実験はこうである。
実験用のラットに、彼らの体重の15パーセントにあたる重さのカプセルを腹部に埋め込んだ。空のカプセルだけ埋め込んだラットと、体重の増減を比較した結果はどうなったのか。
●脂肪調節に「骨」が果たす役割
体内で脂肪分を調節し食欲を抑えエネルギーの消費を促す「レプチン」は、カプセルによって体重を増やしたラットの体内では変化はなかった。
にもかかわらず、カプセルにより体重を増やしたラットの食事量は、カプセル埋め込み前の体重に戻るまで減り続けたのである。つまり、脂肪の増減にかかわらず体重を察知しうるなんらかのスケールがレプチン以外にも存在していることが判明したのだ。
ヤンソン教授と研究チームは、そのスケールが骨にあると想定した。そして、とくに両脚に注目をしたのである。それを証明するために、研究チームは遺伝子学的に骨の成分を改変した。そして、実際に遺伝子学的改変の後には、体重を増やすためにカプセルを埋め込まれたラットたちも食事量は変わらず痩せることもなかったのである。
●座していることが多い現在の生活スタイルではこの体重調節は作動しない
レプチンの発見から23年目に発覚した骨の新たな役割ではあるが、ヤンソン教授はこの発見が遅れたことを次のように説明した。
現代人は座っている時間が圧倒的に多い。両脚が体重を支えている時間が少ないと、脳には正確な体重が伝わらず、体重を減らすためのメカニズムが正確に作動しないのである。食欲を抑えたり新陳代謝を高める動きが弱まり、現代人は肥満とそれに伴う疾患に苦しむことになる。
ヨーテボリ大学の研究チームが、解決策として提案しているのは次のようになる。
脳がこの欺瞞から解放される薬理学的療法が新たに発見されるか、あるいはもっと単純に両脚で立つ時間を日中に増やすことが、骨の本来の働きを取り戻す最良の方法なのである。