「一目惚れ」は「愛」ではなく「幻覚」か オランダでの研究
2018年1月2日 11:45
●「初めてあったときから君を愛していた」は幻想
オランダのフローニンゲン大学の研究によれば、大半の男性が一目惚れの経験があると自覚しているのだという。しかし、実際には一目惚れは自己欺瞞に過ぎないという研究結果がオンラインマガジン「Personal Relationship」に発表された。ロマンチストたちにとっては無粋といってもいえるこの研究の結果はこうである。
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一目惚れとは肉体的に強く惹かれたり、カップルが絆をより強めたいという思いから生まれる「幻覚」にすぎない。
●400人の若者が参加した実験とは
フローニンゲン大学の心理学研究チームは、20才前後の若者400人を対象に研究を行った。
オンライン上のアンケート、研究室での質問、実際に男女が顔を合わせる実験、スピードデート、夕食会などを経て、若者たちの感情をデータにした。
実験に参加した400人の若者は、大半が男性であった。そのうち、32人が「一目見たときに愛を感じた」と解答した。また、42人が「一目惚れ」であったと答えている。
●「愛」ではなく物理的な「魅力」
ところが、データを詳しく分析していくと若者が最初に相手に感じる感情は、情熱や親密さからではなく、肉体的あるいは外観の魅力と直結していることが判明した。
つまり、一目会った瞬間に感じるのはまだ「愛」と呼べるものではないということになる。そして、この結果はこれからカップルとなる可能性になる男女にだけ当てはまるのではなく、すでにカップルとなっている男女の最初の出会いにも該当するのだという。
●過去にも科学者の研究対象となった「一目惚れ」
一目会ったときから愛を感じるかというテーマは、2015年にもユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンでも研究対象になっていた。2015年の研究によれば、カップルや夫婦はその絆をさらに強く感じるために、相手との出会いを劇的に演出する傾向がある、という結果が出ている。ここでも、最初の出会いのときに感じる愛は欺瞞と定義づけられているのだ。
つまり、最初の出会いで感じるのは相手の肉体的な魅力であり、時間の経過の中で成長した感情に置き換えられていくのである。しかし、それはあくまで幻想に過ぎない。
●「一目惚れ」の正体とは
最初の出会いで感じる強い感情の正体とはなんであろうか。
「一目惚れ」は日常的に起こる現象であるにもかかわらず、科学の分野ではまだ完全に解析がされていない。科学的に見れば、「初めてあったときから愛していた」ということはあり得ない。外観から強く惹かれて、その感情が愛に変わっていくことは多々起こる。つまり、「一目惚れ」は科学的には「愛」ではなくても、愛につながる強い感情であることにかわりはないのである。