約2億年前の地層から最古の首長竜の新種化石発見
2017年12月25日 06:46
ドイツの約2億年前の地層から、中生代(約2億5,000万年前~約6,500万年前)に繁栄した海生爬虫類、首長竜(プレシオサウルス類)の、発見されている限り最古の化石が見つかった。これは新属新種として登録され、ラエティコサウルス・メルテンシ(Rhaeticosaurus mertensi)と命名された。
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この発見により、首長竜が三畳紀に既に登場しており、三畳紀/ジュラ紀境界(Tr-J境界)の大絶滅(2億156万4,000年前)を生き延びていたことが初めて明らかになった。
プレシオサウルス類は、今は存在しない海に暮らす爬虫類であり、その多くが長い首を持っていることから、首長竜の通称で知られる。なお、恐竜の中にも首が長いものが存在するため、よくそれらと混同されるのだが、首長竜と恐竜とは別の系統に属するものである。
ちなみに三畳紀には、ジュラ紀へと生き延びることができなかった複数の海棲哺乳類が存在していたことは既に知られている。タラットサウルスの仲間、板歯類などだ。
ラエティコサウルスもそうだが、首長竜はずんぐりした体幹に4枚のひれを持ち、外洋で泳ぐことに適した身体を持っていたと考えられている。また、これは骨組織の解析から分かったのだが、首長竜は爬虫類の中にあって特異的に、体温を高く保つ身体機能を有していたものと見られている。恐らく、この性質が三畳紀末の彼らの生存に大きな役割を果たしたのではないか、と研究グループは見ている。
ちなみに命名の由来は、化石の発見者であるマイケル・メルテンス氏と、化石の発見された時代区分「レート階」とにちなむ。ラエティコサウルス・メルテンシはラテン語で「メルテンス氏のレート階の爬虫類」という意味になる。
なお、ラエティコサウルスの祖先はおそらくかなり古い年代に発生していると推測されるため、今後のさらなる研究が期待されるところである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)