男性が女性より風邪の症状に苦しむ理由をカナダ人医学者が解明か
2017年12月19日 18:24
●同じ風邪の症状でも男性が女性より苦痛を感じる理由
カナダ・ニューファンドランドメモリアル大学のカイル・スー教授は、男性と風邪についての新たな研究結果を発表した。
男性が苦しい風邪の症状を訴えるたびに、妻はそれを大仰だと非難する。これには理由があるのではないかと考えたのだ。
スー教授は、男性は呼吸器感染や発熱に対して免疫応答が弱いために、実際に早急に病院にかからなくては命の危険にさらされることもありうるという結果を公表した。
その理由とはなんであろうか。
●風邪の症状の苦痛の度合いはホルモンによる
妻たちから嘲笑される男性たちの風邪の症状は、実は演技でも大仰でもなかった。男性たちが風邪をひき発熱し苦痛を訴える理由は、男性ホルモンにある。
男性ホルモンの一種であるテストルテロンは、インフルエンザの症状に対して免疫系の反応を弱める性質がある。そのため風邪やインフルエンザから、合併症として急性呼吸器疾患などを誘発する可能性が高いという。
逆に、女性ホルモンは風邪による発熱などに対して免疫反応が強まる。とくに、更年期前の女性は男性とくらべると風邪に対する免疫性が高いのだという。
●弱い免疫システムを持つ男性のメリットとは
スー教授は、科学の分野から見ると男性が女性よりも風邪の症状に苦しむのは理に適っていると主張している。
また、教授によれば、あまり強靱とはいえない免疫システムを有していることは、別のメリットがあるのだという。それは、生殖活動において有利という二次的な特徴である。つまり、風邪の症状に苦しむ人が男性としても虚弱であるとはかぎらないというわけだ。
●ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された記事には反論も多数
スー教授のこの見解は、ブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載された。しかし、反論も多数ある。
英国家庭医協会のヘレン・ストークス=ランパード会長はこう述べている。「インフルエンザや風邪に、男女の区別など存在しません。解熱鎮痛剤を服用し、水分を摂取し、家で安静にしていれば数日で回復します」。