冬のボーナス 7割の正社員が支給 昨年より減少が増加上回る エンジャパン調べ
2017年12月18日 22:01
隣の芝生は青く見えるものだ。給料やボーナスは比べてはいけないと思いつつも、他の会社、他の業種とついつい比較してしまう。そんな人は結構いるのではないだろうか。人材採用・入社後活躍のエン・ジャパンが総合求人・転職支援サービス「エン転職」上で、ユーザー3,682名を対象に「冬のボーナス」について調査を行った。
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今回アンケートの実施期間は11月1日から11月30日まで。多くの企業は冬の賞与を12月に支給するだろう。今回の調査はボーナス支給額などの予想を聞いている。まずは正社員に「今年の冬のボーナスは支給の有無」を質問した。すると、67%が「支給予定」と回答。企業規模が大きくなるほど支給率は上がる傾向が見られ、「1001名以上」の企業に在籍する人は85%が支給予定の一方、「100名以下」の企業は51%が支給予定だった。業種別の支給率は、第1位が「商社」(71%)、第2位が「金融・保険」(68%)、第3位が「医療・福祉・介護」(63%)。最も支給率が低かった業種は「マスコミ・広告・デザイン」(40%)だった。
冬のボーナス支給額についても質問している。全体で見ると最多回答は「20~49万円」(51%)、「50万円以上(50~99万円、100万円以上)」(23%)。支給額も企業規模と比例して高くなる傾向があるようだ。「50万円以上」の回答が全体より5ポイント以上高い業種は、「製造業・メーカー」(32%)、「IT・通信・インターネット」(31%)だった。社員にはなかなか還元されない給料やボーナスだが、この2業種は積極的に分配しようという会社が多いようだ。
昨年と比較したボーナス支給額について質問している。「上がりそう」という回答は15%、逆に「下がりそう」という回答は20%だった。規模・業種別でも、すべてにおいて「下がりそう」が「上がりそう」を上回る結果となった。企業業績好調で株価は上昇傾向にあるが、ボーナスの支給額が下がる会社は結構あるようだ。
では、「上がりそう」と回答した人が所属する業種のトップ3は、「商社」(20%)、「不動産・建設・設備」(19%)、「製造業・メーカー」「金融・保険」(16%)。「上がりそう」と回答した人に、上がる理由を聞くと、全体では「ベースアップのため」(33%)、「個人としての成果が高いため」(31%)、「企業の業績が良いため」(30%)が横並びとなった。待遇改善が呼びかけられる「医療・福祉・介護」は68%が「ベースアップのため」ボーナスが上がりそうと回答。
「下がりそう」の回答が最も多かったのは「流通・小売」(28%)、「金融・保険」(23%)だった。国内消費においてはまだ外国人観光客に頼っており、日本国民が消費しようというムードにはなっていないのが実情だろう。
「ボーナスの使い道」を聞くと、第1位「貯金」(55%)、第2位「生活費」(37%)、第3位「買い物」(25%)という結果になった。用途は年代別に違いが見受けられ、20代は第1位の「貯金」が67%と第2位の「買い物」(34%)を大幅に上回った。貯金の回答が圧倒的多数を占めたものの、20代は他年代と比べて「買い物」(34%)「旅行」(16%)「美容・健康」(6%)といった消費行動に使用する傾向があるようだ。40代は「貯金」(41%)の比率がぐっと下がり、第1位は「生活費」(47%)が逆転。「ローンの返済」(29%)や「子どもの養育費・教育費」(20%)の回答比率も上昇した。
少し前の日本ではボーナスはもらって当たり前という風潮があったが、この10年の間に支給無しや減額といった会社が続出している。ボーナス支給無しに憤る・憤慨する社員も多くいたが、人間慣れとは怖いもので支給されないことがデフォルト(当たり前)となると、それが当たり前となる。日本人全員が好景気を実感できる環境をいち早く整えることを政治家たちには訴えたい。(記事:久保圭大郎・記事一覧を見る)