電子タバコで禁煙はできない?国立がん研究センターの報告
2017年12月18日 11:34
国立がん研究センターは、「電子タバコの禁煙における有効性」を検証するための、800名の被験者を対象とし5年を費やした長期的研究の結果を発表した。結論を述べると、電子タバコを使用した被験者はそれを使用しなかった人よりも38%禁煙成功率が低いという。センターでは、「断面調査であって限界や制約はある」としながらも、我が国においては電子タバコにおける禁煙の有効性は否定された、としている。
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まず電子タバコとは何かということから話していこう。電子タバコというものが登場してからまだその歴史は浅く、明確な定義づけなどは定まっていない状況にある。ただ法律での定義では、電子タバコと総称されるものの中で法律上「たばこ製品」として扱われるもの、たばこではないが「医薬品医療機器法」の取り締まり対象となっているもの、そして、特段の規制のないもの、の三つがある。
性質で分けると、「タバコの葉を、火を付けるのとは異なる形で加熱して気体を吸引するもの」もあれば、ニコチンやタールを含まず、何と言うか香りのついた気体のようなものを吸引するというタイプのものもある。この場合は煙とは言わず「ミスト」と言うことが多い。
繰り返しになるが、電子タバコの問題は、まだ未解明の部分が多いということにある。ニコチンとタールを含まないタイプの電子タバコでさえも、その「ミスト」は単なる水蒸気というわけではないので、カルボニル化合物など、何らかの有害物質が含まれている可能性が指摘されている。その詰換液(リキッド)やエアロゾル成分については、まだ研究が進んでいないため理解されていない部分が多い。
また、タバコの葉を含み、ニコチンやタールを発生させる種類のタバコについては、何をかいわんやである。この種のタバコの嗜み方が、従来の「火をつける」方法と比べて健康に対していいのか悪いのか、実はそれすらまだ十分な研究が行われていないというのが現実だ。
なお、センターの指摘にもあるが、禁煙のためにもっとも有効な手段は「薬物治療」である。私事に渡るが実は筆者も過去に投薬による禁煙を成功させ、以後一服たりとも吸っていない。
何であれ、現状はともあれ、電子タバコも従来のタバコと同じくマナーを守って利用することが肝心であると思われる。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る)