数学史上最大級の難問「ABC予想」が日本人により解明か

2017年12月18日 07:30

 数学の世界において、最も難しい問題の一つとされ、1985年に提唱されて以来これまで誰も解くことのできなかった予想「ABC予想」を、京都大数理解析研究所の望月新一教授が解明した見通しだ。

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 数学界では最高峰に位置付けられるジャーナル「PRIMS」が、2012年8月に発表された望月教授の論文の査読を続けてきたのだが、どうやらその内容は正しいらしい、ということになり、早ければ年明け1月、同誌への掲載が決定されるという。

 査読に5年もかかったのは、証明に用いられる理論そのものがあまりにも広範かつ難解に過ぎ、望月教授自身を別として、世界に誰もその全容をすぐ理解できる学者がいなかったためであるという。ちなみに、論文のページ数は、発表時点で500ページを越える長大なものであり、その後改訂が加えられたので600ページを突破する長さとなっている。

 その上、その内容は、従来のいかなる数学とも異なる、独自の理論をベースとしたものなのである。発表当時から、「価値ある論文であると考えられるが、その査読には異例の長さの時間が必要であるだろう」とコメントされ、この論文の解読のための勉強会が開かれるなど、数学の世界においても異例の展開が続いた。

 ABC予想とはなにかということだが、a+b=cを満たす自然数の関係に関する、極めて高度で難解な問題である。非常に重要なことには、これ一つが証明されれば、その他の数学上の重要な問題、例えばスピロ予想、ヴォイタ予想、ディオファントス解析などが、即座に解決はしないまでも大きく解明へと近づくのではないかとも言われている。

 この論文が真正のものであると認められた場合、1995年のフェルマーの最終定理の解決や、2006年のポアンカレ予想の解決にも並ぶ快挙であるという。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

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